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「すまぬ、担任と話をしていた」
「…あんさ、月詠」
「なんじゃ。話をしている暇はないぞ」
椅子を引いて銀八の前に座れば、鞄から教科書や参考書を取り出す。
「これからは別々にやんねェ?」
「…え?」
月詠はページを捲る手を止め、顔を上げる。
「わっちの教え方が分かりにくかったか?」
「そうじゃねーよ」
「なら理由は何じゃ?」
「…ほら、来月の今くれーは冬休みだろ?休み入ったら一人でやることになる訳だ。今から練習しとこーかなァ、みたいな?」
「……そうか」
月詠は出した物を鞄に仕舞う。
何時もの如く無表情だったが、明らかに違う雰囲気を漂わせていた。
「…じゃ、また明日」
「送る」
「いらぬ。勉強しなんし」
「俺も帰るから、途中まで」
「………」
微妙な空気のまま、二人で並んで教室を出た。
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