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勉強ライフ、スタート。
戯け!公式を覚えたかと思えば計算ミスをしておる!
…はい。スミマセン
途中計算からやり直し!!
フランス革命は流れで覚えるんじゃ。特にセンター試験では並び替えが狙われる
ふ〜ん…成る程
insentive
えー…と…なんつった?
インセンティブじゃ
あーアレね、アレ。……………
いい加減覚えなんし!!
放課後、帰り道そして休日。
隙間の時間も使い、二人は一月に行われる試験に向けて勉強した。
月詠の教え方は適切で、それに合わせてひたすら打ち込むだけで。
銀八は自分に知識が全くないことに落ち込みながらも、それほど勉強が苦にならなかった。
「…960年、くろーにんのオットー一世…」
玄関掃除を終え、銀八は世界史の単語を唱えながら教室に向かっていた。
職員室前を通ると、僅かに空いているドアから話し声が聞こえた。
「どうしたんだ?」
「いえ。特に何も」
聞き慣れた声に足を止める。
「(月詠?あー、二者面か)」
担任の隣にパイプ椅子に座る月詠の後ろ姿が見えた。
「調子悪いな。全体的に成績落ちてるぞ」
「…すみません」
「入試は長期戦だ。最後まで頑張れよ」
「…はい」
月詠が返事をすると、話題は違う方向へ展開していった。
「………」
彼女は今どんな表情で、どんな思いをしているか。
月詠の後ろ姿しか見えないが、分かる。
銀八は握りこぶしに力を入れた。
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