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「何故…ぬしが此処に……?」
「新聞。俺の学校に、月詠の名前が載ってたから」
「ぬしの学校の、離任式は…良いのか」
「俺ら昨日だったんだよねー。だから有休使って、来た訳よ」
「…戯けが!ぬしは本当に……」
銀八は月詠の首の後ろに手を回した。
シャラ、
「コレ、」
「…っ」
チェーンから、シルバーリングを外す。
「今度はコレ、指にはめませんか?」
「…銀八……!」
「エンゲージリングはまだ買えねーけど、予約ってことで」
「…うっ…、ひっ…ぱち…」
「月詠。月詠が笑ってるとこがみたいなぁー」
右の薬指をキラキラと光は反射して。
月詠先生はまた、涙を流していた。
今度は、とても幸せそうな顔で。
「良く聞こえなかったけど…月詠先生嬉しそう」
「…で、」
「で?」
「空はどうしたんですかィ」
「あ、」
忘れていた。
沖田君を追いかけて来た、本来の目的を。
「…ふー…」
再び高鳴る鼓動。
それに負けないように、大きく深呼吸した。
「沖田君。私、沖田君のことが──」
2013/02/28
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