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『起立!』


生徒会長の呼びかけに、生徒が一斉に立ち上がる。


『これから、平成24年度、離任式を行います。離任される先生方はご登壇下さい───』


「空。月詠先生離任しちゃうの寂しいアルな…」

「…うん。そうだね」


私はステージに上がった先生を見渡した後、沖田君の方をちら、と見た。

沖田君は列から抜けて、担任の先生の後に続いて体育館を出て行った。


「……っ」

「空ちゃん。沖田君、行っちゃったわよ。良いの?」

「─私は

『続きまして、月詠先生よろしくお願い致します』


スッ、と立ち上がり、マイクの高さを調節する。


『こんにちは。何を話そうか、色々なことを考えたけれど…今は皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。此処に来る前は、初めての土地で、…大切な人とも別れ、とても不安でした。』


月詠先生の声が、体育館中に響く。


『けれど、此処で沢山の色んな経験をしました。休み時間や放課後になると、話をしに来てくれたり、ある時は悩みを相談して…私自身もアドバイスをもらいました。』


「…先生……」


『そこで気がついたのは、…素直になること。生徒に言われて気がつきました、先生は素直じゃないだけ、と。だから、皆さんにも自分に素直に、正直に生きてほしいです。長くなりましたが、私は此処に来たことを嬉しく思っています。また会える日まで』


拍手と共に、私は体育館を飛び出した。



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