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小さなシングルベッドに、大人二人。
月詠は最近買い替えようかと思案中である。
今では一緒に寝るのが日課になりつつある故に。
「つーくー」
甘えた声で名を呼べば、頬にキスする。
これにも月詠は慣れっこで、何度も寄せられる唇を受け入れた。
「おやすみ、月詠」
「おやすみ」
最後に唇に軽くキス。
『月詠はどんな時に怒んの?』
「わっちは…」
曖昧で、文字では表せられないような関係が誰かによって終止符が打たれそうになった時。
「怒るかもしれぬな…」
厳しい社会と向き合わなければならない時間から、一部切り取られたような。
もう少し、この、居心地の良い時間に甘えさせて。
早くも寝息を立て始める大きな猫の隣で、月詠は静かに眼を閉じた。
2010/04/29
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