3

 
『二十四日、何処か行きませんかィ?』


素直で、純粋で(時々、いや、ほぼ毎日腹黒い発言もするが)。

何より己にいつも笑いかけてくれる後輩。

正直、社内で一番可愛がっているかもしれない。


「……」


月詠はソファーに置いてある鞄から携帯電話を取り出した。



「月詠先輩、おはよーございます」

「…あぁ。お早う」


ベビーフェイスの後輩は月詠が来るなりまじまじと眺めた。


「?…何か可笑しいか?」

「いやぁ、普段の月詠先輩は格好良いのに、今日はなんとなく違った雰囲気で。可愛らしいでさァ」

「全く…そんなお世辞、何処で覚えたのか」

「えー、お世辞じゃありやせんよ」


クスクスと笑う月詠に、頬を膨らました後輩も思わず笑みを溢す。


「やっと笑ってくれやした」

「…え?」

「先輩、最近元気なさそうだったんでねィ…。どうしたのかなーって」


だてに一緒に仕事してる訳じゃないんさァ。

そう付け足した。


「……!」

「だから、今日はいっぱい笑える所に行きやす」


彼はまた純粋に笑みを見せた。


「…ああ。そうじゃな」


後輩に見透かされていたのかと思うと、困ったような笑みしか浮かべられなかった。

それでも彼の行為は嬉しくて。

今日一日を楽しもうと月詠は決心した。




[ 11/17 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -