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「─よ、月詠!!」
「…え?」
銀時に呼ばれ我に返った。
「なんかした?」
「?…わっちが何か?」
「ぼけっーとしてるし、さっきから箸止まってんじゃん」
月詠は慌てて箸を動かし、手近にあった煮物を摘まむ。
「別に何もない。少し寝不足なだけじゃ」
「ふーん」
「なぁ銀時…今夜も出掛けるのか?」
「まーな。月詠はちゃんと寝てろよ」
そう言って残りのご飯を一気に掻き込む。
「─ゲホッ、ゴホッ…ヤベ、…噎せた」
「慌てるからじゃ。ゆっくり噛んで食べなんし」
都会にも雪が降り積もり、世間はクリスマスムードに包まれる。
相変わらず銀時は拘束力がある恋人でも、拘束力のない友人でもない。
只の、ペット。
「銀時、」
最近銀時は夜に出掛けるようになった。
勿論気にならない訳がない。
「んぁ?」
「…いや、呼んでみただけじゃ」
しかし、いちいち何処で何をしているなど、子供でもあるまいし訊くのには何だか気が引けてしまう。
互いに干渉し合うこともなく、共有する世界は二人きりの時だけだから。
「ごっつぉーさんしたーっと」
「うむ…気を付けてな」
「んー。わぁった」
「ちゃんと帰って来なんし」
「?じゃ、行って来んな」
バタン、
「………」
静まり返る部屋。
部屋の温度が急激に下がった気がする。
寒くて、寒くて、仕方がない。
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