真実一路
「フー…」
パクン。
携帯を閉じ、月詠は小さく溜め息を吐く。
大学生の恋愛には、高校生のような歯止めがない気がする。
知らない人にアドレスを聞かれ、月詠は断るに断れない状況が続いていた。
慣れない人には気を遣いすぎる、己の性格が嫌になる。
「…ハー……」
二度目の溜め息と同時に、メール受信の着信音が鳴る。
携帯を開き、内容をチェックする。
早速のお誘いに、軽い苛立ちを覚えた。
「(本当の恋は…ないのか?)」
「あれー?月詠。なんかすっげぇ怖い顔してんぞ。どした?」
「…銀時」
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真実一路。
本当の恋に気がつくのは、もう少し先の話。
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