無知
所謂幼なじみなのだ。
いつから好き?
知らない。
それこそ、この感情が何なのかすら、分からなかったから。
「つーくーよっ」
「うわっ…ぎ
「ちょー聞いて!お前に報告したいことあんだけど」
「ま、まずは離れなんし!」
「お、わりぃ」
背後から抱きつかれるのに悪い気はしないが、人目が気になってならないのだ。
シャキッと銀時が直る。
「何じゃ。またくだらないことでありんせん?」
「くだらなくねーっつうの!なんと…カノジョができましたとさー」
「……お前、にか?」
「そ。いやー、無理だと思ってたんだけどね俺も。けどまぁ、最初に月詠に言えて良かったわ!」
────────────
途端に胸がじわりじわりと熱くなってゆく。
すると同時に目頭も熱くなり、今にもぼやけそうだ。
泣きそうな自分がいる。
──そうか、自分は彼が好きなのだ。
無知というのは本当に、恐ろしい。
2012/01/04
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