春一番
新勧期を経て、サークルに一年生が入ってくれた。
それは先輩として純粋に嬉しいことだった。
それなのに。
「月詠先輩、今度ご飯食いに行きやせんかィ?」
「テメェ何抜けがけしてんだァ?俺と行くよな、月詠サン?」
「月詠先輩はそこら辺の弱い奴とは出掛けたりしないよ。俺にしなよ。ね?」
「ごちゃごちゃうるせーよ。先約してたの俺だからー。な、先輩?」
大きな男四人に囲まれ、正直暑苦しい。
「…それより、サークル活動しなんし」
これを言い訳をするのが精一杯。
なのに!
「するよ、」
『先輩が俺を選んでくれたらな(ね)』
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こういう時だけハモるな。
春だと言うのに、嵐の予感。
あっという間に去ってくれることを密かに願った。
11/05/23
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