きっと、この先も

 
桜を見に行った。

というよりは、歌舞伎町の川沿いを歩いていたら、散り際の桜に出逢ったという風なのだけれど。


「─あ、」

「ん?」

「ほら、見なんし。桜が散っておる」

「あ、」


ひらひら、ひらひらと。

風に乗って、ゆらゆら流れている。

綺麗。

吉原ではあまり見られない光景に、些か感動していた。


「─そういえば去年の今頃もぬしと河原を歩いたな」

「そうだっけ?」

「覚えていないのか?誘ったのは銀時からだというのに」

「…あー……」


どんな顔をしているのだろう。

ちらりと横顔を盗み見る。


「…ふっ、」

「んだぁ?急に笑い出すなよ」


相変わらずの表情に、思わず笑ってしまった。


「すまん、すまん。変わらないな、と思いなんした」

「…変わらねーよ、」

「…!」


自由になっていた左手が、暖かさに包まれる。


「…そうじゃな」


─────────────
思い出した。
去年もこうして、銀時から手を繋いでくれた。
そしてその後は、好きじゃ、俺も、みたいな会話をするのだろう。
それは、きっと、この先もずっと。


2011/05/07

[ 4/23 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -