きっと、この先も
桜を見に行った。
というよりは、歌舞伎町の川沿いを歩いていたら、散り際の桜に出逢ったという風なのだけれど。
「─あ、」
「ん?」
「ほら、見なんし。桜が散っておる」
「あ、」
ひらひら、ひらひらと。
風に乗って、ゆらゆら流れている。
綺麗。
吉原ではあまり見られない光景に、些か感動していた。
「─そういえば去年の今頃もぬしと河原を歩いたな」
「そうだっけ?」
「覚えていないのか?誘ったのは銀時からだというのに」
「…あー……」
どんな顔をしているのだろう。
ちらりと横顔を盗み見る。
「…ふっ、」
「んだぁ?急に笑い出すなよ」
相変わらずの表情に、思わず笑ってしまった。
「すまん、すまん。変わらないな、と思いなんした」
「…変わらねーよ、」
「…!」
自由になっていた左手が、暖かさに包まれる。
「…そうじゃな」
─────────────
思い出した。
去年もこうして、銀時から手を繋いでくれた。
そしてその後は、好きじゃ、俺も、みたいな会話をするのだろう。
それは、きっと、この先もずっと。
2011/05/07
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