とおい
もともと違うクラスだったし、晋助は文系、自分は理系だったから会えるのはごく稀で。
何時も顔を合わせていた生徒会室も、引退してから数える程しか行っていない。
会いたい、と思ってしまう。
廊下を歩く度に彼の姿を探していたのも事実だ。
「んー…」
傍らで受験生である身。
図書館で勉強していて、意味を調べるために辞書を取りに本棚へ向かった時だった。
「……っ」
久々に映った彼の姿に自分の胸は高鳴らなかった。
「……」
ただ、ただ、苦しい。
「……うん、」
叶わない恋もあるのだ、泣くな、泣くな。
そう自分に言い聞かせて、二人が校門を出るのを見送った。
隣に揺れる金色の髪が、眩しかった。
────────────────
「あの頃は好きだったんだから」
とか。
冗談で言えるような強い女には、まだなれそうにない。
2011/05/02
img/UVERworld/マダラ蝶
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