最初の願い

 
命は大切に。
そんなのは当たり前で。
しかし眼下に広がるは、赤黒い液体。

───血、だ。

「………」

抵抗をみせる罪人には、手荒だが刃物で斬りかかる。
勿論、殺られる前に殺ることも。

「………馬鹿なことを」

抵抗しなければ、良かったものを。
頭として団を率い、百華と伴に制裁している時は極力無表情を装うが。
今日は偶々一人だったから。

「……っ、」

紫暗の瞳からは、滴が静かに流れた。
気が可笑しくなりそうだ。

───殺しに慣れる?そんなこと、出来るはずはありんせん。

────────────────
だから願わん。
わっちにとって、大切な人は手の届かない場所に居て。
こんな己は汚らわしくて、きっと触れられないから。

2011.2.14

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