3

 
「好きな人、いるとか?」

「……、」

彼女は何気ない一言を発しただけ。

それなのに、動揺している自分が居る。

「もしかしてビンゴ!?え、誰、誰?」

「居らぬ」

「いーじゃん、教えてよツッキぃ」

「居らぬのに名前を言える筈がないじゃろう、戯け」

「チャイム鳴ったぞー席に着けー」


思わずナイスタイミングと心で呟く。

小テストを抱えた先生は教壇に立ち、だるそうにプリントの枚数を数え始めた。


「ほら、前向きなんし」

「あーもうっ」


口惜しそうにしつつも、しぶしぶ前を向く彼女。


『好きだ』


「……、」


思い切り首を横に振ると、少し気分が落ち着く。

何かが脳裏を霞めた気がしたが、気のせいだと言い聞かせた。




[ 3/10 ]

[*prev] [next#]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -