復讐のCampanella | ナノ









― 遥 奏多(21歳・女)

私立池袋南女子高等学校卒業。
父はサラリーマン。
母は専業主婦。
一人っ子。―




「現在は、女子大生か…」




そうパソコン画面に写る女の写真は、数日前に出会った腹立たしい謎の女の顔であった。


何度自分が知る情報網を使って調べても、この"遥 奏多"という人物はその名前で、あの忘れもしない顔で存在している。

むしろ、最後に名乗った"可憐"という名前の方が存在しないものという結果が出る。





「でも、どこかで聞いたことがある気がするんだよなぁ。……可憐」





先程からそのパソコン画面の前で彼女の写真を見つめる男、折原臨也はそっと自分のズボンのポケットから一枚の紙切れを出す。




「なにがきっと折原さんはこの番号に電話をかけたくなりますよ、なんだよ。…本当に気に入らない奴だなぁ」




グシャリと紙切れを潰しゴミ箱に投げ入れようとするが手を止める。




「俺の名前だけ知ってるなんて、フェアじゃないよねぇ」




男はニヤリと笑い、お気に入りのファーのついた黒いダウンを羽織り新宿のとある部屋を後にしたのだった。















♂♀




場所は変わり、ここは池袋某所。




「おい、置いて行くぞー」


「…えっ!あ、ちょっと待ってよ、シズ!」



女はシズと呼んだ男の元へ駆け寄る。

シズとは平和島静雄。
池袋で知らぬ者は居ないという程の人物である。



女は急いで駆け寄った結果、小さな段差に躓き転びそうになる。

しかし、静雄はその女の身体を瞬時にそっと抱き抱えたおかげで転ぶことにはならなかった。




「おい、危ねぇぞ。…可憐」


「ヘへっ、ありがとう。シズ」




可憐と呼ばれた女は、臨也のパソコン画面に標示されていた写真と同じ顔をした女だった。














♂♀



――甘楽さんが入室しました。
――○×さんが入室しました。



甘楽【こんばんわぁ〜♪】

○×【こんばんわ!そういえば甘楽さんって平和島静雄を知ってますか?】

甘楽【なんですかぁ?藪から棒にぃ〜】

○×【いや、ね。なんか今日その平和島静雄っていう人が女を抱きしめてたって…】



――ハルさんが入室しました。


甘楽【あせajmtnjgtwgpmふじこ】

ハル【ちわーっす】
ハル【って甘楽さん、どうしたんすか?】

○×【ハルさん、こんばんわ!ログ見てみてくださいw】

ハル【あぁ…】

甘楽【えぇっ!○×さん、どこ情報なんですか?嘘なんじゃないんですか?】

○×【私は直接見たっていう友人から聞きました】

ハル【つーか、俺もそれ聞きましたよ】

甘楽【えぇぇぇぇぇ!ハルさんまで!!!】
甘楽【ちょっと急な用事が出来てしまったのでオチます!ではまた!バイバイビー】



――甘楽さんが退室しました。


ハル【え、はやっ】

○×【じゃぁ、私もオチようかなー?】

ハル【そうっすね】
ハル【じゃぁ、また】

○×【また今度〜】



――ハルさんが退室しました。
――○×さんが退室しました。










女はそっとパソコンの電源を切る。




「臨也さん、意外と強情か…」




そう静かに呟き、鳴らない携帯を見つめた。





「可憐ー、飯出来たぞ」



携帯から台所へ視線を動かせば、そこには料理が乗ったお皿を二つ抱えた静雄の姿。


「ありがとう、シズ」





小さいテーブルを占領していたパソコンを床に置き、静雄が作った料理をテーブルに置く。


彼は意外と料理が上手だ。

ただ力加減が下手でたまにフライパンや鍋を壊す。
そして野菜を潰すぐらいだ。


それでも最近は力加減が上手くなってきたのか、そんなことも減った。




「わーい、シズの作った料理は美味しいから嬉しい!」


「味付けなんか適当だぞ」

「それが美味しいんじゃないか!」


「…そうか?」




うんうん、と頷きながら料理を口に運べばやはり美味しくて頬が緩む。




「おい、飯、頬に付いてるぞ」


「ん?取って?」



少し上目遣いで彼を見上げれば、一瞬で耳まで真っ赤にさせる。




「ば、ば、馬鹿野郎…っ」


「早く、ねぇ」




手で頬についたご飯を取れば、そのまま乱暴にキスをする。

それは触れるだけのキスではなく、全てを壊すかのように激しいキス。





「……んっ、シズ、ご飯冷めちゃうよ」


「お前が誘ったんだろ?」

「………ばか…っ」






そのままどんどん着ていた衣類が乱れていく。

そして私の心も乱れていく。









今はただ快楽の渦に身を委ねましょう―――













...to be continued



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初っぱなからドロドロです。
昼ドラレベルでドロドロしたものを書きたい管理人。

久しぶりにデュラ書いたら楽しいですね!

あと偽名とチャット名の変換が出来なくてすみません。
あまり変換多くするとわけがわからなくなってしまうという管理人のワガママです。
あとプロローグで臨也さんに「偽名っぽいね」と言われて「偽名です」って言い切るやり取りが書きたかっただけ←

そして学校名は架空のものですのであしからず。
れからも架空のもの出てきます。

こんな感じで進めます。



2012/4/7