復讐のCampanella | ナノ









「じゃぁ、とりあえず順番に名前を教えてくれるかな?」





ここは池袋のとあるカラオケ店の個室である。

そこには女が三人、男が一人という奇妙な組み合わせの四人が歌うわけでもなくテーブルを囲んで話をしている。





「あ、ちなみに僕が奈倉です」




顔はかなり良し。
ニコニコと爽やかな笑顔を見せている。一見は人当たりが良さそうだ。

まぁ、胡散臭いとも言う。



相変わらずこの人は…。

そう思っていればいつの間にか自分の番になっていたようだった。



「大丈夫?君の番、だよ」



顔を間近に覗かれドキリとする。

あまり近くで顔を見ては欲しくなく、急いで顔をそらす。




「すみません、ちょっとボーッとしてました。私は遥奏多です」


「はるか、かなた…?随分、偽名っぽい名前だねぇ」

「あ、偽名ですもん」



奈倉、と名乗る男に自分が名乗った名前を突っ込まれれば、満面の笑みでそう答える。




「……えーっと、変わった面白い子だね。とりあえず本題に入るけど、僕で本当に良いのかな?」


「もちろんです」

「はい」

「………………」




そう、この異色の集まりはインターネットで"集団自殺"という名目で集まったメンバーなのだ。




「あれ?奏多ちゃんは返事がないみたいだけど、やっぱり後悔してる?」


「いいえ、別に。どーでも良いですから、私は。それに…」

「それに?」




「奈倉さんも死ぬ気、ないでしょ?」





笑顔でそう告げれば、微かに奈倉という男の顔がひきつる。




「うん、って言ったら奏多ちゃんはどうするのかな?」


「別に、どうもしません。言ったでしょ?…私、どーでも良いって」




他の女二人に、何を言っているんだ、と罵られる。

そんな二人を無視して奈倉という男を見つめていればふいに、うるさく騒いでいた女たちが静かになる。
そちらの方を見ればぐっすりと眠っている女たち。




その瞬間、ニコニコと爽やかな愛想笑いをしていた奈倉という男が大きな溜め息を吐く。





「で、一体君はなんなの?何のつもり?飲み物にも手、つけてないし、俺のせっかくの楽しみを邪魔してくれちゃってさぁ。本当に台無し」



そこには愛想笑いすらも消えており、こちらを鋭くギロリと睨んでいた。





「だから、遥奏多ですって言ってるでしょう?奈倉さん、じゃなくって……
















………折原臨也さん」



語尾に音符がついているかのように明るくそう告げれば、さらに険しい顔を見せる。




「あんた、何者?」



「きっと折原さんには一生わかりませんよ。んー、世の中にはわからなくても良いことがありますよ、いーざやーさん」


「俺を誰だと思ってるんだよ」

「優秀なイケメンの新宿の情報屋さん、かな」


「あんたさ、本当にムカつく奴だねぇ」




本当にイライラしている様子の奈倉こと折原臨也。


そんな彼を放っておきながらポケットから一枚の紙切れを出す。




「きっと折原さんには私のことはわからないですよ。だから優しい優しい私は一つだけ特別大サービスでヒントを差し上げましょう!」


「は?」



「可憐、私の名前は可憐です」




睨みを効かす彼にポケットから出した紙切れを手渡す。

そこには携帯の番号が一つ。






「きっと折原さんはこの番号に電話をかけたくなりますよ」








そう告げれば、小さい箱の中のようなカラオケルームを一人出る。



外に出れば青空が綺麗だった。














「さぁ、物語の幕が上がりましたよ。…折原臨也さん」










―――復讐のCampanella

(この音が聴こえますか、貴方には―?)




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遂にやりたかったデュラ連載を始めてしまいました…!
デュラってまだ需要あるのかな?

とりあえずあまり長くは続かなそうなので中編になるかもしれません。


タイトルは復讐のCampanella。

Campanellaとはご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、某ピアノ曲からきています。

カンパネラ(もしくはカンパネルラ)と言って、鐘という意味になります。
要は復讐の鐘ということですね。

て、これは本当に夢になるのか?


シズちゃんも絡めてちょっと大人な雰囲気を出したドロドロのお話にしたい、なw

一応、折原くんオチです。
でもシズちゃんともヤっちゃうか(ry


では、宜しくお願い致します!



2012/4/7