お正月遊びをしませんか
「クラサメ隊長、遊びましょう」
新しい一年が始まったにも関わらず、新年の挨拶よりも先に遊びの誘いをしに来た名前を無言で見つめる。
まず彼女は0組の候補生であって、私は隊長だ。
「聞いてますか?」
「聞いてるとかではなく、まずはちゃんと挨拶をしたらどうだ」
「あぁ!こんにちわ」
「違う」
「まだおはようございますでした?」
「違う」
「こんばんわ、は夜でしょう?」
「………………」
「クラサメ隊長、頭がおかしくなりましたか?」
イラっとしたのは気のせいとしよう。
「新年明けましておめでとうございます、だろう」
「あぁ!あけおめです!で、だから正月遊びをしようと来たんですよ」
「………………」
少し頭が痛くなってきたのも多分気のせいだろう。
「まずはこれ!コマ回し〜ぃ」
昔テレビで見たことのある、青色の某ネコ形ロボットの真似をしながらコマを出す名前。
「遊び方を知ってるのか?」
「一切知りません!」
「………………」
「え、呆れてません?」
「私のことがよくわかっているな」
「愛しい愛しいクラサメ隊長のことならなんでもわかります」
「前言撤回だ」
「冷たいところも凛々しいですね!私、ツンデレ好きですよ!うん?でもクラサメ隊長はツンドラって感じ?きゃー!好きですぅぅぅ」
「そんなにお望みならお前自身をツンドラにしてやろうか」
「洒落にならないですよ、それ」
「洒落ではないからな」
いやん、ツンデレ最高!なんて騒いでいる彼女を見て、いつもと変わらず元気だなと口元が弛む。
「で、遊び方を知ってるものはないのか」
「え、遊んでくれるんですか?デレ発動きたぁぁぁぁ」
「ちゃんと説明をしないなら今すぐにツンドラにしてやるぞ」
「すみませんでした。で、これなら知ってます!」
「なんだ、これは」
「福笑いって言うんです。一人が目隠しをしてこの顔の絵の上にこのパーツを乗せていくんです」
「目隠しをしていないほうはどうするんだ」
「だいたいどの辺りに置けばいいか指示するんです」
「よし、わかった。まずは名前が目隠しをしてやってみろ」
「えー」
「………………」
「はい、わかりした。今すぐに目隠しします」
目隠しをして手探りにパーツを持ち準備万端な彼女の背後に座る。
「クラサメ隊長、ちゃんと指示だしてくださいね」
「わかった」
クラサメはふと、あることを考えたら。
「まずこれはどこですか?」
そう真剣に質問する名前の耳元で息を軽く吹き掛けるように答える。
「右、だ」
「………ん…っ」
予想以上に色っぽい声を出す名前にクラサメの悪戯心はくすぐられた。
クラサメはわざと声を低くして耳元で答える。
「違う、もっと左だ」
「あ、ん…っ、ちょっとクラサメ隊長」
「なんだ」
「や…んっ、やめて」
「なにを、だ」
「ん…っ、耳、近い…っ」
軽く耳に唇をつけると、これでもかというほどに顔が赤くなる。
慌てて目隠しをとろうとする名前の腕を抑えて、耳元で再び囁く。
「ほら、お前のお望み通りにデレてやっただぞ」
―――
正月遊びをしませんか------------------------
お正月企画第四弾です!
秋空さまリクエストでクラサメ隊長でお正月にちなんだギャグということでしたが、私にはギャグが向いてなさすぎる!
遅くなってしまったくせにこんなものでごめんなさい。
返品可能ですので、遠慮なく言ってやってくださいませ。
いつもいつも優しい感想を言ってくださってありがとうございます!
これからも仲良くしてやってくださいね!
秋空さん大好きです!w
2012/1/26
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[mokuji]
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