曖昧な優しさなんかいらない






「あれ?こんなところで何してるの?」



そんな声をミシェルにかけられたのは一時間前の図書室でのこと。


「勉強してるのよ、見てわからない?」

「ユリアは最近冷たいなー」


なんて茶化してくるこの男。
なぜ冷たくしてるか、なんていう理由はこいつだってわかっているはずのくせに。

そう、私は一週間前にミシェルにフラれたのだ。



「俺が勉強教えてあげようか?」

「…………」

「そこ間違えてるよ」

「…………」

「えっと、そこはねー」

「ちょっと!無視して話を進めないでくれる?」

「無視してるのは、お前だろ」


なんて言って私のおでこをちょんと突っつくミシェル。
そんなミシェルひ少し睨むと、おー怖い怖い!とおどけるミシェル。



「なんでわざわざ私に構うのよ、放っておいて」

「だから冷たいなー」

「冷たくなんか……」

「冷たいよ。今まで通りにしてよ。いつもなら勉強教えてー!って言ってきてただろ?」

「……それは、ミシェルが」


そこまで自分で言っておいて、その先が言えなくなってしまう。



するとミシェルが突然私の肩に頭を乗せて言う。


「……ごめん。でも俺、ユリアにこうやって冷たくされるのは嫌なんだよ、だからな」

そう言って頭を上げるミシェル。


「勉強、教えさせてくれよ」



せっかく私がミシェルから離れようてしているのに、ミシェルは私を離してはくれない。
だから私はミシェルへの恋心を忘れることが出来ないんだ。



「帰り、送ってあげるよ。ユリアの好きなアイス買ってあげるから」


そんなこと言いながら私に勉強を教えるミシェル。

どうして、私にそんなに優しくするの?




曖昧な優しさなんかいらない






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ミシェル初書きの作品!!

本当はミシェルもヒロインちゃんのことが好きなんだけど、
自分が死んじゃったら哀しむと思って断ったとかいう設定。

このお話は続編でくっつけてあげたいな…




2011/11/25

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