ちっぽけな事がたまんなく幸せ
いつもの朝、たくさんの学生が溢れかえっている玄関の中で私は短ランの彼の姿を見つける。
「いーざやっ!おはよ!」
「……あ、おはよ」
チラっと私の顔を見て面倒くさそうに挨拶し、すぐに下駄箱へ視線を戻してしまう。
目が合うのはほんの一瞬のことだったけど、それだけで私は胸がキュンとしたのがわかる。
「今日はちゃんと朝から学校に来たんだね?珍しいこともあるもんだね!雨降ったらどーしよ?私、傘持ってないよ!」
「……君さ、喧嘩売ってる?」
「売ってるわけないじゃん!あ、わかった!臨也くんは私に会うために朝から学校に来たのだな!」
「………………」
「え!?ちょっと無視?」
「……はぁ、君と話してたらなんか疲れるから、もう教室に行く」
「えーっ!ちょっと待ってよ!もう少し話してくれたって良いじゃん」
スタスタ歩いて行ってしまう臨也。
臨也とはクラスが違うから、こうして朝に会った時ぐらいしか話しが出来ない。
そう考えると寂しくなってくる。
臨也のことが好きでしょうがない。
髪型だって変えたのに全く見てもくれないし、疲れるって言われるし空回りばっかり。
「……はぁ、私も教室に行こうかな」
私はトボトボと自分の教室に向かって歩き出した。
「おい!馬鹿優莉亜!!」
私の大好きな声が後ろから響いてくる。
「ば、馬鹿ってなによ!」
「君、うるさいから言うの忘れてたけど、似合ってんじゃないの?」
「……え?」
「髪型だよ、髪型」
「……あり、がとう」
「女の子は髪型でだいぶ騙せるって言うからね、今の方が良いんじゃない?」
「ちょ、ちょっと!!」
「ははっ、嘘、嘘。優莉亜に似合ってるよ。じゃぁ教室行くから。またね」
臨也は手をひらひらとしながら自分の教室に向かって歩いていく。
顔が火照って熱が冷めない。
"またね"と言う言葉がたまらなく嬉しかった。
毎日は会えないし、話せないけど……
ちっぽけな事がたまんなく幸せ------------------------
ほのぼの学生ストーリでした!
臨也さんの初書き夢ということで
完全に似非臨也さんでしたw
2011/11/25
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[mokuji]
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