呪術廻戦 | ナノ

クリスマスプレゼントは愛してる






「ねぇ、俺と姓なる夜しない?」


そう言ってきたのは目の前にいる五条先輩。
ぱっちりした瞳、鼻筋も通って、綺麗な顔をしているが綺麗なのは顔だけ。性格と顔が真逆の人間。

しかも完全に頭の中で聖なる、が性なると聞こえたのはきっと聞き間違いじゃない。
それでも一つの可能性にかけて、その”せいなる”っていうのは聖夜のせいでいいんですよね?って聞いてみれば違うよ、と当たり前のように即答される。



「俺と朝まで良いことしようってこと。名前ははっきり言わないとわかんないかな?セック「わかりましたわかりました!それ以上言うのはやめてください」

「え?わかったって同意ってことでいい?」

「どうしたらそうなるんですか!」



調子に乗った五条先輩は私の後ろに回り込み、肩に頭を乗せながら、所謂バックハグならぬものをしてくる。


「えぇ、こんなグットルッキングガイな俺が誘ってるのにダメ?」


まるで捨てられた子犬のような弱々しい声を出しているが、おねだりしてる内容は下衆以下だ。

そもそも私と五条先輩は付き合っているわけではない。ただの先輩と後輩なのだ。
まぁ、悔しいことに私はこんな下衆以下な五条先輩が好きなので、頭を乗せられた肩も彼に触れられてる身体の部分全てが熱い。

好きだからこそ、ただのセフレにはなりたくないのだ。
ほら、よく言うでしょ?男の人は身体を得たら満足してしまうからセフレから彼女になるのは難しいって。

なによりも今はセフレで良いなんて、五条先輩に思われてるのが悲しい。


「五条先輩なら女に困ってないはずじゃないですか。一人寝が寂しいから他の女の人でも誘ってください」


至って冷静を装ってそう言ったが、他の女の人のところへ行けと自分で言っておきながら凄く胸が苦しくなる。

これで本当に彼が他の女の人のところに行ってしまったら?
そんな悲しいこと私には耐えられるだろうか。



「へぇ〜、他の女のところ行って良いんだ」


そう言って、私の肩から頭を上げ、身体を離した五錠先輩は制服のポケットから携帯を出し、アドレス帳を巡って女の人を探しているようだった。
それを見た瞬間、私の右手は頭で考えているよりも早く五条先輩の携帯の画面を抑えていた。



「え、なに?携帯見えないんだけど」

「すいません…!で、でも」

「はっきり言わなきゃわかんないよ」



その言葉は思ったよりも優しくて、私は正直に他の女の人のところには言って欲しくありません、と言えば、彼は満面の笑みで携帯をポケットにしまい、私の右手を握る。


「へぇ〜じゃぁ、やっぱり名前が相手してくれるの?」

「それは……」



恋人同士ならそういうことしても良いと思ってます、と彼の耳に届いているかわからないほど小さな声で呟けば、しっかりと彼には届いていたようで、嬉しそうに私の右手を引き、そのまま抱きしめた。


「え、なに?もしかして俺の気持ち伝わってない?」

「どういうことですか」

「や、俺はずっと名前のことが好きだからこうやって誘ってたんだけど」

「え、分かりにくすぎる」



ごめんごめん、と言いながら頭を撫で、耳元で愛してるよ、と言われれば私はいま世界で一番幸せな女になって、彼の胸の中で微笑んだ。









ーーーークリスマスプレゼントは愛してる

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