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いつからだろう?

涯の背中が遠くなってしまったのは。


触れたくても私には触れることが出来ないんだ。
だって涯には私なんか目に入っていないから。



でもね、私は涯のことが好きだから強くなるんだ。

本当は強くない貴方を守れるほど強くなるって決めたの。






「、涯」


「あぁ、名前か」

「今から始まる作戦の話なんだけど、ここの部分が少し手薄に感じるわね。涯はどう思うかしら?」



涯のことが好き、という気持ちは遠い昔に封じ込めた。

今はただこうして涯の役に立って、涯を守れれば良い。




「そうだな、名前の言う通りだ。いつも俺が気が付かないところき気が付いてくれてありがとうな」

「いいえ、涯のお役に立てたなら良かったわ。じゃぁ、私は陽動担当だから行くわね」



「……名前…!」




作戦会議室の扉に手をかけ、部屋を出ようとすれば涯に名前を呼ばれ振り返る。




「ん?」


「…俺は今日は後方部隊だからな、俺の目の届かないところであまり無茶をするなよ」

「そんなに心配しなくっても作戦は上手く成功させるわよ。私がどれだけ古参メンバーかは涯が一番知ってるじゃないの」


「いや、そういう意味じゃない」

「………?」



ピピピピピっと、集合の合図の音が互いの携帯から鳴り響く。



「……お前は昔から俺の隣に居たんだ。だから、あんまり先に歩くなよ」



私の横を通って部屋を出ていく涯が、そっと私の頭を撫でた。

その手が凄く優しくて、少し泣きそうになった。




「涯っ!」



彼の後を追いかけるように慌てて作戦会議室の扉を開ける。

振り向かず、立ち止まる涯。





「私、ずっと涯の隣に立っていても良いの?」


「………………」

「……涯?」




ゆっくりと振り返って見えた涯の表情はとても優しい笑顔をしていた。




「俺の隣に立つのは名前だけだろう?だから、そんな所に突っ立ってないで早く来い」



腰に手をあてて立ってる姿も格好良いな、なんて思いながら涯目掛けて走り出した。

そして涯が差し出す手を強く、強く握りしめた。





「涯、貴方のことは私が守るから」


「じゃぁ、お前のことは俺が守らなきゃいけないな」




二人顔を見合わせ微笑むと、歩幅を合わせて前に進んでいったのだった。






 




君の隣に立っていたい


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