第四次忍界大戦の爪痕も生々しい木の葉隠れの里では、火影である綱手の提案で開催されることになったお祭りの準備にみなが活気づいていた。
当初そんな場合ではと反対する意見はあったが、大戦で家族を失った者、特に孤児たちを和ませたいのだという綱手に反対する者もなく、一般人も忍びもみんなが張り切ってそれぞれ準備にあたっていた。
「まぁ、アタシは救護班だと思うけど」
と少し残念そうなサクラ。サイは絵が得意だからそっちで何かやるんじゃない?と言われ、ナルトは途方にくれた。
「俺ってば…サクラちゃんやサイみたいに特技とかねェし…どうしよう」
頭を抱えている折も折、
「ナルトー!ナルトはお祭りでなにやるのー!」
チョウジが声をかけてきた。いのもシカマルも一緒だ。
「決まってねェんだよ〜!チョウジは?」
「ボクはねぇ、舞台とか屋台とかの設置の力仕事を手伝う代わり、当日は自由なんだ!」
嬉しそうに言う。
「いのはもちろん花屋の屋台よね?」
「ええ、ミニブーケとかどうかなって、今いろいろ計画中よ」
いいわね!と目を輝かせたサクラとそのままブーケの案と称した女子トークに突入してしまう。
「シカマルは?なにやるんだってばよ?」
とナルトが問うと、いのとチョウジがくすくす笑い出す。
「シカマルはね、『めんどくせぇ』って逃げだすだろうって見越して最初から警備班に入れられちゃってたのよ」
笑いながら言ういのを軽く睨みながらシカマルが心底めんどうくさそうに首の後ろを掻く。
「みんな…決まってんのかよ…」
茫然とするナルト。
「警備班はもういっぱいだって言ってたぜ」
「あ、設置とかの力仕事ももう定員らしいよ」
シカマルかチョウジの真似をしようと思ったのに先に言われてしまう。
「マジか!?どーしよー!!」
ナルトは両手で髪をぐしゃぐしゃに掻きむしりながら叫び、
「他のみんなは何やるか聞いてくる!」
と駆け出した。
まずは一楽へ行くとミニラーメンの屋台を出すと言う。それ用の小さな使い捨てカップを見せてもらい、
「おっちゃん…これじゃ俺、全然足んないってばよ…」
と思わず呟いてしまい、テウチに苦笑いをされてしまう。
「ナルトちゃん勘弁してよ、当日は子供たち優先だしよ!」
「あ!そっかそっか!そうだよな!」
一緒になって笑う。
と、通りがかったテンテンに声をかけ、何をやるのかと聞けばテンテンはクナイや手裏剣を使ったジャグリングをすると言う。
「ま、忍びなら誰でも出来るけどさ。口寄せとかも入れちゃって、とにかくたーっくさんのクナイをたった一人で扱ってみせようじゃん!って感じ?」
なかなか気合いが入っている。リーは武術の演武をするらしい。
「まずい…ほんとみんなちゃんと決まってってるってばよ…」
焦りが募る。あと聞いてないのはキバたちの八班のみ。
「俺?犬塚一族でドッグショーやるってんでその手伝いかな」
「俺も油女一族で昆虫の生態展示をやることになっている」
こうなってくるともう特技の範囲を超えてしまっている。一族出されちゃあなァ…。目を細めて唸りかけたところで、ふと
「あれ?ヒナタは?一緒じゃねぇの?」
2人に問う。
「さっき別れたところだ」
「もう家に帰っちまってんじゃね?」
ヒナタの家はさすがに名門・日向一族の宗家だけあって、広大な敷地と立派な門構えを持つお屋敷だ。この程度の用事でわざわざそこへ出かけるのも気鬱だし、明日も早いしヒナタがなにやるかはまた改めて明日にでも聞くことにすっか、とナルトは今日の調査は終了することに決め家路についた。
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