歩き出すナルトからやや遅れてついていくヒナタ。ナルトからの申し出に甘えて手伝わせてしまっているというのに、余計なことをして世話までかけてしまった…先程の夢のような光景を見れたことは嬉しかったが、果たしてナルトにはどうだったのか。
顔があげられない…よ…
うつむきながら遅れないように歩くのが精いっぱいで。
沈黙が辛くて涙が滲んできたころに、ナルトが振り返り、ニマッと笑った。その笑顔に救われる思いがして、涙ぐみながら懸命に笑顔をつくったヒナタへナルトがはにかむようにやや視線を落とし、
「なんか…ヒナタと一緒だと、初めてがすごい多いってばよ…」
もにょもにょと呟く。目を見開くヒナタへほんわりと微笑みかけながら、
「すげェ面白い」
きっぱりと言い切る。堪えきれずに涙をこぼしたヒナタをやさしく見つめながら、
「色んなことを知るって楽しいよな?」
やわらかく微笑む。
ナルトくんは…やっぱりやさしい…
ついに立ち止り、手で顔を覆って泣き出してしまったヒナタを、ナルトはやさしく見守り続ける。
泣けばうんざりされるのが常で、止まらない涙をどうやって止めたらいいのかいつもあわあわするのだけど、
ナルトから発せられる空気がとてもやさしいことが本当に嬉しくて。
気の済むまで泣いていいんだ…
そう思うと、気持が落ち着いていくのがわかり、自分でもびっくりするほど早く涙が止まる。
微笑んだまま差しのべてくれたナルトの手を取り、ゆっくりと歩き出す。
好き。
やっぱりナルトくんが好き…。
穏やかに、しかし淀みなく溢れる思いに浸りながら、手を引かれるのは本当に心地よく。
いつまでもこのままでいられたらいいのに…。
祈らずにはおれない。
やがて、自分の荷物が見えだして。
「今日はもう引き上げよっか?」
ナルトの申し出にヒナタはこくんと頷く。
「俺、明日は多分戻って来れねェな」
残念そうにナルトが言う。
「た、多分、明日は雨だから…どのみち無理だった…よ?」
おずおずと告げてみる。次の約束は…出来るのだろうか…
「明後日なら確実に戻ってると思うけど!」
ナルトが明るく言ってくれたのでようやく笑えたヒナタが、
「じゃ、じゃあ明後日…お願いします」
にこっと笑って言う。
「おう!そんじゃあ明後日な!」
ナルトも負けじとにこっと笑う。
よかった…ほんとによかった…泣いちゃってごめんなさい…
謝る気持ちを笑顔に託せて本当によかった。
そのままそこで今日は解散ということにした。
072日目 肆
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