ショコラより愛を込めて!
「じゃ、あたしがまとめて買っとくわね」
「ありがと!あ…支払い…今度でいい?」
サクラがいのに向かって両手を合わせた。
「もちろん!構わないわよ」
明るく笑ういのに同意するように頷いたヒナタが、
「だ、だよね…本命の…まだ決まってないから…買い足さなきゃいけないかも…だしね…」
と微笑んだので、いのがさっと青ざめた。
「そ!そうだった!あたし、予定してたこれ、ダメなんじゃん!」
箱と同じ美しいグリーンの紙袋を前に頭を抱えたいのを尻目に、
「ヒナタは?」
サクラが問うと、
「うん…これにするつもりだったんだけど…どうしようかなって…」
ヒナタは大切そうにそっとドゥバイヨルの箱を引き寄せる。
「あら、やめるの?」
「うん…」
紙袋に仕舞い込みながらヒナタがしょんぼりと答えた。
「喜んでくれるとは…思うんだけど…目の前でリボンを乱暴に引っ張ったり…包み紙を破ったりされちゃったらヤダかも…な…って……」
「ああ〜…」
「やりそう…ナルトなら…」
「それはイヤって…い、言えない…よね…?言っちゃダメだよ…ね?」
「そうよねぇ…あげたもんなんだし、好きに食べさせろ!ってなるわよ…ねぇ…」
二杯めのカフェを飲み干したいのがふとサクラを見た。
「なによ?サクラったらずいぶん余裕ね」
「ん?だってアタシはちゃーんと決まってるもーん♪」
「うそ!どこの?!?」
「うっふっふ♪張り込みましたー♪パスカル・ル・ガックのトリュフ!詰め合わせのほうだよーん♪」
「…甘そう…サスケくん甘いもの苦手じゃなかった?大丈夫なの?」
「それに…結構量…あるよ?確か…3つのうち2つはキャラメルと…オレンジ…じゃなかった…っけ…?」
「えっ?…オレンジ、苦くないの?」
「うーん…トリュフだし…オランジェットほどの苦さは…たぶん…」
「うっ…」
嬉しそうに掲げた箱を持ったままのサクラが固まる。
「ご…ごめんなさい…サクラさん…」
必死にサクラを慰めるヒナタを見つめていたいのが、
「わかった!」
とカップをテーブルに置き、
「この際、違うのにしよう!高級ショコラなんか所詮男にはムダ!もったいない!」
と、厳かに宣言した。
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