陸 * 知りたいよな
「えええええ〜!!」
「おいおい…!待てよ!」
いのとキバはすぐに騒いだが、
「…ちょっと!ナルト、アンタ!」
おしぼりで辺りを拭いていたサクラが、ナルトの腕を掴んだ。
「我愛羅くんと遊ぶのって、明後日なの?」
「ああ…しかも、昼間は無理んなっちまったって…さっき…だから夜しかダメみてェだっ…て…」
「キャ〜♪じゃあそれ決定!決定なんじゃな〜いっ♪」
うつ向いたナルトをよそにいのがはしゃぎ回った。
「マジかよ…!」
キバは天を仰いで両手で頭をかきむしった。
「うわ〜♪うわ〜♪うわ〜♪里を越えての結婚ね〜♪」
「くそ…」
「ヒナタが…風影夫人…かぁ」
サクラがほんやりと呟いたのを聞いて、
「まだケッコンかどうか決まったわけじゃねーだろ!」
ナルトがうつ向いたまま噛みつくように叫んだ。握りこんだ両手が震えている。
「ヤ、ヤダ…ちょっと…」
驚いて振り返った人々を憚るようにサクラが取りなそうとした。が、
「…なによ、どうしちゃったの?ナルト?」
「ふん」
いのはきょとんと首を傾げ、キバは鼻を鳴らすと再びメニューに手を伸ばした。
「柏餅下さい!」
「は?!アンタまだ食べんの?この状況で?!」
「ん〜とぉ、じゃ、あたしは御手洗団子にしよっかな〜」
「いのまで?!」
突然激昂したナルトに、それを見ても平然としているキバといのに、サクラはどうしてよいかわからずパニックになった。
「ナルトは?」
いのがぽすん、とメニューでナルトの胸元を打った。
「オメーも取り合えずなんか食えよ」
キバも届いた柏餅をさっそく頬張りながら促す。
ナルトが動かないので、いのはサクラへメニューを差し出した。
「あ…あ…じゃ、アタシは…さ、三色団子に…しよっかな…」
二人の意図がわからず眼を泳がせながらサクラがナルトにメニューを差し出すが、やはり動かない。
「すみませ〜ん!御手洗団子と〜、三色団子と〜、抹茶ソフト下さい」
いのがさっさと注文してしまった。
「ソフトクリームなら食べれるでしょ?」
驚いて顔をあげたナルトを見ていのがにこっと笑った。
「取り合えず座ろ?んで食べよ?」
「そ、そうよ!アンタさっきから何だかんだ食べてないんだし!食べよ?」
戸惑い顔で、しかしやっとゆるゆると座ったナルトに、サクラはようやくほっとした。
しばらくして注文した品が届く。
「ダメねぇ♪来たら食べちゃうのよねぇ…」
「い〜じゃない、ダイエットは明日からよ〜♪」
「…年がら年中喰ってて、オメーらの明日ってのはいつくんだよ…」
「なんか言ったぁ?キバぁ…」
「いーやー、なーんも!」
「嘘おっしゃい!」
「ぐぇ!」
女子二人からキバが締め上げられる様子に、ナルトがようやく笑った。
それを見て今度こそ、いのもキバも笑った。
「それにしても…いいなぁ…藤かぁ」
「鉢植えのものか野生のものしか見たことないわぁ〜」
「ステキなんでしょうね♪」
二人が乙女ちっくに呟きながら、団子に噛みついて串から外して食べるオトコマエな仕草に、キバとナルトは顔をひきつらせた。
「それにしてもさ!ちょうど我愛羅くんが来るからって、慌てるようにして、しかも毎年やってた八班のお花見をやめにしてまでお見合いすることないんじゃないかしらね?」
サクラが食べ終えた串を振り回しながら言った。
「そういやちょっと変よね?」
いのも首を傾げた。
「真相…知りてェ…な…」
ぽそりと呟いたナルトの言葉に、4人はハッ!と顔をあげると、額を付き合わせてニヤリと笑いあった。
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