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テーマ「推しとの恋」
- ナノ -






肆 * そんなことより!

「あんたに聞きたいことがあるのよ♪」

来い来いと手招きする二人にキバが怪訝そうな顔を足を向けるべきが躊躇しているところへ、見計らったようにさっき注文した餅菓子がやってきた。

「お・ご・り♪」

サクラといのとでにっこり笑ってかざしてやると、キバは笑顔になってあっという間にナルトの隣に腰かけた。

「いっただき〜♪」

美味しそうに頬張るキバを笑顔で見守っていたのはたった半口。咀嚼しようとするや、サクラもいのもたちまちキバの腕を掴んだ。

「ね!ね!ヒナタのお見合いのこと、アンタ何か知ってんでしょ?」
「ねぇねぇ、いつよ〜!誰となのよぉ〜!」

両方から揺さぶられ、菓子を喉に詰まらせかけたキバは眼を白黒させながらそこにあったナルトの抹茶ミルクのグラスを掴むと、

「あっ…」

ごっ!ごっ!ごっ!と、一気に飲み干してしまった。

「ああ…」

ナルトの淋しげな声をよそに、

「っぶねーなー!喉に詰まらすとこだっただろが!」
「そんなことより!ねぇねぇねぇ♪」
「知ってるんでしょ〜教えてよ♪」

サクラといのは眼をきらきらと輝かせながらキバに迫る。
ふぅ、とため息をついたキバはたっぷりと勿体つけるように、あむあむと残りを平らげ、

「んー…て、噂…だよな…」

指についた粉を舐めながらぽそりと言った。

「真相知らないの?!」
「はっきりとはな」
「うそぉ〜!誰なら知ってんのよぉ〜!」

二人は悶える。

「でもまぁ…心当たりなら…あんぜ」

赤丸の首を撫でてやりながら言ったキバの言葉に再びいきり立つ女子二人。

「いつよ?」
「誰よ?」
「それよりよーっ!」

茅の外からナルトがたまらず声をあげた。

「“みあい”するってことは“けっこん”しちまうってことって、何なんだよ?!マジなのかよ?!」

突然割り込んできたナルトに、三人は驚いて停止してしまった。

「あー…あのー…」
「んーと…ねぇ…」

まだへの字口をしたままのナルトを上目遣いに見ながらサクラといのはごにょごにょと言い淀んだ。理由はふたつ。どう説明したら分かりやすいだろうかということと、ナルトの真意。

「…日向の敷地内でやるってんなら…本決まりも同然だろ」

キバが赤丸を撫でたまま素っ気なく言い放った。三人が驚いてキバを見るが、興味がないのか、それとも実は拗ねてでもいるのか、こちらもまた真意がはかりがたい。

「敷地内で、って…」
「日向がもてなす…宗家の承諾ありって…こと…?」

恐る恐る訊ねる二人に、キバは返事をしない。
代わりに赤丸が、くぅん…と小さく鳴いた。

「どーだかな!」

ぱっと言いきると、キバは赤丸から手を離して座り直すと、この店が水がわりに出してくれるほうじ茶を一気に飲み干した。

「さっき言ったとーり、はっきりと知ってる訳じゃねぇ。だけど、火のないところにって言うだろ?なら、もしかしてって思わなくなくはないってだけだよ」

メニュー表を見ながらそう言うと、

「すんません!白玉つき抹茶ミルクあずきのかき氷下さい!」

と、店員を読んだ。

「乗った!」
「私もっ♪」
「それじゃナルトの分もっ!」
「へっ?」
「…それぞれ自分の分は払えよな…」
「それよりもー!」

揃えた声とセリフと同じく、同じ腕をむんずと掴む。

「心当たりって?」
「それもう核心?確定?みたいなもんよね?」

逃がしはしないわっ…二人のギラギラした眼差しに、キバは思いきり鼻に皺を寄せてため息をついた。

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