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テーマ「推しとの恋」
- ナノ -






卅弐 * 花の下にて…大団円

「そういうことなのなら…確かにアンタが悪いわ」
「そう言われれば〜そうかもね〜」

同調したサクラといのに、

「えっ?!えっ?!オレ?!オレなの?!」

ナルトはわたわたと皆の顔をせわしなく見回した。

「不充分な情報で我愛羅の期待を煽ったばかりでなく、結局は落胆させてしまった罪は重いわ!!」

サクラがビシィッ!とナルトを指差して宣言すると、

「でェエエエエ!!」

ガビーン!!とナルトが顎を外してショックを受けた。

「…一理ある。何故なら…ナルトはいつも不充分かつ不確かな情報を提供しがちだからだ」
「やっぱオレなのォオオオオオ?!」

頭を抱えてのけ反るナルトを、誰も慰めない。

「あっ…あっ……あのっ…で、でもっ…」

ヒナタが必死に訴えた。

「ひゅ、日向のっ…藤の…お花見は…ど、どうだったかな…っ?そ、そう悪くはない…と…思うんだけど…」
「もっちろん!サイコーに楽しかったってばよ♪」

たちまち相好を崩して真っ先に答えたナルトに、

「お前が我愛羅より先に言うんじゃねーよ!」

と、同期四人が突っ込んだ。

「お…お望みの…お花見じゃなくて…ごめんね…我愛羅くん…」

ヒナタが済まなさそうに我愛羅へ詫びた。我愛羅は微笑むと、

「いや…充分すぎるほど楽しかった…堪能した…ありがとう…」

静かにだが本当に嬉しそうに礼を言った。ヒナタがほっと息を吐いて、やはり嬉しそうに微笑んだ。

「やっぱ絵になるわ〜♪」

いのが二人の様子にほくそえむ。

「ヒナタ!ヒナタぁ!ダメぇえええ!ヒナタはオレのォ!」
「うるさいっ!少しは大人しくしてらんないのかっ!」
「もっと絞めてやれー!サクラーっ♪」
「…キバ…いつもながら…すごいな…」

サクラを煽ってナルトを締め上げさせていたキバにシノがそっと頭を振った。

「あ?!何がだよ?!」

斜め下からシノに顔を寄せ、睨みあげながらキバが小声で凄んだ。
我愛羅はヒナタと会話したままだし、ナルトはサクラに絞められ、いのがそれを見て手を叩いている。

「自分も責任の一端を担うというのに見事にナルト一人に押しつけた…。ナルトを犯人にしてしまえば万事うまく納まるのは確かだが、それを確実にするためにその思考が強いサクラを伴い、場の空気や流れを収まりのいい方へ誘導するのが得意ないのを更に加えるとは…全く…」

睨んでいたキバがニヤリ…と笑った。

「悪党め…!」
「それがどーした?」

ヘヘン!とキバは全く悪びれた様子もなく、むしろ得意そうに笑った。

「結局、八班を率いているのはオレ様のこの頭脳ってこった!」

舌を出して胸を張る。

「それについては深く追及はしない…だが…」

軽く受け流してシノが続けた。

「後でナルトにはなんらかの…礼でもすべきだと思うが…?」
「そりゃもうとっくにたっぷり支払ってるぜ♪」

キバが肩をすくめてナルトを見た。シノもつられて同じ方向を見る。

サクラからようやく逃げ出したナルトがよたよたとヒナタの側に寄る。我愛羅と会話していて今までナルトがどういう状況だったか気付いていないヒナタが控えめにだが嬉しそうに微笑んだ。たちまちぐんにゃりと顔面を崩壊させたナルトが素早くヒナタを抱き上げると、

「ヒナタっ♪ヒナタっ♪」

自分の膝の上に抱えてはしゃいでいる。

「…なるほど」
「なっ?」

ふふん♪と得意満面なキバに、シノは感心半分呆れ半分ではあるが。

「…ま、なんとかうまく収まった…ようで…何よりだ」
「だろ!!!」


「ナルト!アンタね!ヒナタを困らせるんじゃないわよ?!」
「わ、私なら…だ、大丈夫…だよ?!ナルトくん…!」
「無理しなくていいのよ〜ヒナタ、いつでも逃げていいんだから、ねっ?」
「ええええ、縁起でもねーことゆーなってばよ!!ヒ、ヒナタはっ…は、離さねーっつの!」
「…羨ましい限りだ…良かったな、ナルト…」

気がつけば皆笑顔で居て。

吹き抜ける爽やかな五月の風に時折揺れる満開の藤の花の下、笑顔も会話も笑い声も尽きないのであった…。





<完>

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