卅 * 真相解明・前編
「ああ!オメーがよけーなこと言うから!予定変更になっちまったんだよ!」
「オレ?!オレ、なんか言ったっけ?!」
「ふん!」
先程までの勢いはどこへやら、呆けた顔で眼を見開いてぱちぱちとまばたきを繰り返すナルトへキバは容赦なく毒づく。
「エエ〜〜〜〜、記憶にナイんですけど〜〜〜、どの発言でしょおかァ〜」
そっぽを向いたキバにお伺いをたてるようににじり寄る。
「木の葉でじゃねーよ!砂でだよ!」
「砂ァ?!」
ナルトはすっとんきょうな声を出すと思わず我愛羅を見た。我愛羅のほうも驚いた顔をしてナルトを見ている。
「…オメー、砂で我愛羅に花見の話しただろーが!」
キバがじろりとナルトを睨んだ。
「んあァ?!したかァ?!つか、藤で花見するなんかつい最近知ったっつーの…」
「藤じゃねーよ!」
キバが言葉を被せてくる。
他の者たちはもう聞いているしかないとてんでに好きな様子で二人を見守っている。
いのはわくわくと面白半分、
サクラは怪訝そうな表情、
我愛羅は考え込むような視線をしつつじっと見つめ、
ヒナタはやっぱりおろおろとしている。
そしてシノはじっと二人の言い分を聞いている。
「桜だよ!桜!」
サクラが一瞬、自分が呼ばれたのかと思って身体を揺らした。
「桜の花見!」
「桜の…」
「自慢したんだろ?!我愛羅に!」
「…ああ」
キバの言葉に記憶を辿っていたナルトと我愛羅は、同時に声を漏らした。
「なんかもう散々自慢して?見せてやりたいだの来たらいいだの言ったらしーじゃねーか!」
「…そりゃゆーよ。だってマジすげェじゃんよ…アカデミーの周りとかさ…」
ナルトが唇を尖らせてごにょごにょと反論する。
「オメー、バカか?!花にゃ季節があんだろが!!」
キバが真っ赤な顔をして叫んだ。
まだ話が飲み込めない者たちが、ナルトを先頭にキバの続きを待っていたが…
キバは顔を真っ赤にしたままなかなか次を続けなかった。
[ 30/33 ][前] [次]
[目次]
[top]