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廿玖 * 犯人探し、再び

キバの肩を掴んだ三つの手のなかから、

「キ〜バ〜くぅ〜ん♪」

白い指の持ち主が、天から降って来たのかと思うほど高い声を出しながら色白の瓜ざね顔をぐっとキバの片頬に寄せて微笑んだ。

「ちょーっと、お話をねーっ♪」

薄いピンク色の肌をした彼女も、大きな瞳をキラキラと輝かせて反対側の頬にぐっと寄り、にこにこしている。

「聞かせてくんねーか?ってばよーッと♪」

最後に真正面から、日焼けした顔色と好対照な白い歯をニイッと見せて、トレードマークとも言える眼が見えなくなってしまういつもの笑顔で、

ぐい!

と、額がぶつかるかと思われるほど顔を近づけた。

「…なんだよ、オマエら…」
「なんだじゃねーよ!!!!!」

多少怯んではいるが、それでも不機嫌そう素っ気なくに返したキバに、三人は笑顔を崩さぬまま先程とは真逆な低い声で叫んだ。

「アンタね!花見はナシになったって言ってたじゃない!」
「そ〜よ!いかにも残念そ〜に、悔しそ〜な顔してさ!」
「ありゃ嘘だったってーのかよ!」

三人が口々に喚いたが、落ち着きを取り戻したキバはいつもの如く、ヘッ!と言うと、

「嘘は言ってねぇ」

反論した。

「はぁあ?!?」
「どこがよ!!」

詰め寄る女子二人にもどこ吹く風、

「今日のは急にナシんなったって言っただけだろーが」

とサクラへ、思い出してみろと言わんばかりの視線を向けた。

「うっ………た、確かに…!」
「やだぁ!嘘ぉ!」

思い出したサクラがあっさりと認めたので、いのが悔しがって身をよじった。

「けどよ!散々思わせ振りに、無しになっただの、シノは呼ばれてて仲間外れにされただの、あげくによ!」

今度はナルトが食い下がる。

「我愛羅とヒナタが、お、お見合い、するらしいかもとかさ、オマエちょっとあんまりなんじゃねーかよ?!」

お見合い、の辺りでちょっと涙ぐんだのだけはヒナタを除く全員がうんざりしたが、サクラもいのも盛大に首を縦に振り、我愛羅もじわじわと納得し始めている。

「…仲間外れ?」
「おーよ!シノは中止って言われてねーとか聞ーたらよ!仲間外れされたんだな、ひでェな、って思っちまうじゃねーかってばよ!」
「なるほど…確かに…」

キバの首根っこを引っ付かんだままシノに言い返したナルトは、我愛羅の賛同を得て得意な顔になった。

「だが、仲間外れとは心外だ…何故なら」

シノがサングラスをきらり…と光らせて反論する。

「俺は今日のための虫除けを予定通りのまま継続しただけであって、けしてキバを仲間外れにしたわけではない」
「んなこた、もー知ってるわ!!」

異口同音に叫ばれて、シノはむ…と黙り込んでしまった。

「ヘッ!」

ナルトの勢いに圧されて崩れた姿勢を直しながらキバが言い放った。

「そもそも元はと言えば、オメーが原因なんだよ!ナルト!」
「オ、オレがァ?!」

ギッ!と睨んでくるキバに、今度はナルトが怯んで間の抜けた声を出した。


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