廿捌 * 饒舌な説明下手
ヒナタが、びくっ…と身体を揺らし、
「あっ…あの……えっ…と…」
おろおろしながら言いよどんでしまったので、サクラはマズいことを言ってしまったのか?と首をすくめたが、ヒナタはサクラに気を使わせた!とますます萎縮してしまう。
ヒナタとサクラとシノを見比べてどうすべきかナルトが頭を捻っている隙に、ヒナタがきっ、と頭をあげ、
「あ…あの…来週にね…来週に…八班で…」
頑張ってそこまで言ってみたがこれ以上は無理だったのか、やはり申し訳なさそうにしょんぼりとうつ向いてしまった。
「あ…あの…あの……ごめんなさぃ…」
「ヒナタが謝る必要はない。何故なら、ヒナタと同じ班だから日向一族が我々に好意で便宜をはかってくれるのであって、それに自分の班だけで行動することは特に咎められるようなことではないからだ」
小さくなってしまったヒナタの代わりにシノが続けたまではよかったのだが、言っていることが今一つわからず、ナルト、サクラ、いのに加えて我愛羅も首をかしげた。
「…済まんが…言わんとすることがわからない…のだが…?」
我愛羅が申し訳なさそうにシノに訊ねた。
「オレのか…?ヒナタのか…?」
「ど…どっちのだろう…」
聞き返されて四人はまた首を捻った。
「…ええっと…そうね…来週?来週、何がある…ある予定だったの?」
首をかしげたまま、サクラが記憶の糸をたどりながら慎重に質問してみた。
「だから…」
シノが呆れ果てた…と言わんばかりに、ため息と共に言葉を吐き出した。
「八班の花見だ。…いつもより一週遅れの、な」
んんんんん?!?!
その言葉に、ナルト、サクラ、いのの眼が大きく見開かれ…
ぎ、ぎ、ぎ…と、軋んだ音をたてているのが聞こえるのではないかと思えるくらい、ゆっくりと首を動かしてキバを見た。
その様子を気にしたのは我愛羅一人で、キバもシノも意に介さないまま、シノが続ける。
「例年通りならば花見が行われるのは今日だったのだが、折よく里への賓客があるということでそちらをもてなすことになったからと無しになったのだが、そのまま今年は開催しないことになったとしても致し方なかったものを、有り難いことに一週遅れならば可能であると話を頂いたというのに…」
立て板に水、とはまさにこのこと。普段口数が少ないからより感心してしまう滑らかな弁舌を、シノは一旦切り、
「待てないばかりが、招かれるはずのない者たちを引き連れて乱入してくるとは…呆れたものだ…キバ」
わずかにキバのほうへ顎を動かした。濃い色のサングラスに隠れて見えないが、きっと睨んでいるに違いない。
「オメーだけ二回とかずりぃだろーがよ!」
「…失敬だな」
「なぁにが失敬なんだよ!?」
「…何故なら…」
ずい、と身を乗り出してシノに突っかかろうとしたキバの肩を、三方から伸びてきた手ががっしり!!と捕らえた。
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