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廿肆 * 信じて…!

「好きだ!ヒナタ!大好きだ!オレもヒナタが好きなんだーっ!」

叫び終えると、ナルトは顎をあげたままぎゅっと目をつぶり口を引き結んだ。
首や耳の裏まで真っ赤に染めて震えている。

「そ…んな…」

ヒナタがぽろぽろと涙を溢した。

「…うそ…」

ヒナタの呟きに弾かれたように動いたナルトが、慌ててヒナタの肩を掴んで顔を覗きこむ。

「嘘じゃねェ…」
「で…でも…だっ…て…」

辛うじてナルトの顔を見返しながら、ヒナタはぽろぽろぽろぽろと涙を溢し続ける。

「信じて…」
「でも…」
「…好きなんだ…ヒナタ…」

いつになく気弱で小声なナルトにも戸惑う。

「わ…わた…し…を…?」
「うん…ヒナタを…」

そう言うとナルトは片手で自分のジャージを探って引っ張り出した手拭いがしわくちゃなのに一瞬閉口するが、

「洗濯は…ちゃんと…してあっから…」

ごにょごにょ言いながらヒナタの顔にそっと押し当てた。

「着物…濡らしちゃダメなんだろ…?」
「あ…りが…と…」

両手で受け取ってきゅっと掴む仕草にナルトが微笑む。

「…信じた?」
「……まだ…」
「エエエエエエーッ!」

んなーっ?!と顎を外してショックを受けたナルトを見て、皆は笑いをこらえる。

「わ…わ…笑うなってばよーっ!」
「ご…ごめ…ぷぷぷ♪」
「だって…だって…くくく♪」
「ぶはっ♪ま、日頃のなんとやらで、しょーがねーのかもなー♪」
「ふっ…全くだ…何故なら…」
「うるせェ!うるせェ!うるせェーッ!」

からかう同期へわめき返しながらもナルトの手はしっかりとヒナタの肩を掴んだままなことにも皆は密かに笑う。

「う…うる…うるせェ…」

ごにょごにょ言いながらヒナタを見る。まだ悲しげな顔をしている彼女は、まだ信じていないんだろう。どうしたらいいのか…ナルトは悩む。

「ヒナタ…」

切ない顔になっていることに気づかないが、そっと名前を呼んでみる。びくり、と身体を揺らす彼女は、気付いているはずなのに…言葉の意味を、言葉に籠められた自分の気持ちを。

『どうやったら…信じてくれんだ?!ヒナタ…』

まごつくナルトを見てやれやれ、とサクラといのは明るい顔で肩をすくめた。

「簪の意味…教えてあげましょうか?」

クスクス笑いながらいのがヒナタの髪の藤を指差した。

「ナルトの意図はこうよ…『ヒナタを独り占めしたい』♪」
「のわ?!?!」

ヒナタより先に驚いたナルトを、皆が思いきり睨んだ。

「アンタね…」
「てめー…」
「…自覚なしとは…恐ろしい…」
「全くだ…」

皆の盛大なため息にナルトはまたぶすくれて唇を尖らせた。

「ヒナタったら…」

いのが首をかしげた。

「得意でしょう?言葉に出来ない気持ちを…察してあげること。口に出来ない気持ちをくんであげること。ナルトの自分への気持ちも…伝わってるんでしょう?」

ヒナタはたちまち眼を伏せて、怯えたようにまつ毛を震わせる。

「…わかった」

不安そうに顔を覗きこんでいたナルトが、背筋を伸ばしてきっぱりと言った。ヒナタがおずおずと見上げると、ナルトの真剣な蒼い眼差しに射ぬかれてしまい、怒らせたのだろうか?!と反射的に身を引くが、

「好きだ、ヒナタ」

そのまま、真剣な眼差しでナルトが言った。

「ナ…ナルトくん…?!」
「好きだ。好きだ。ヒナタが好きだ!」
「ナルトくん…っ!」
「好きだ好きだ好きだ好きだ!ヒナタが好きだーッ!」
「やめて…お願…い…やめ…」
「やめねェ!」

耐えられない、と顔を背け首を振るヒナタの肩をますます強く掴んでナルトは叫んだ。

「ヒナタが信じてくれるまで何度だって言う!好きだ!好きなんだ!ヒナタ!ヒナタが好きだ!」

背けるヒナタの顔を正面から見ようと追いかけながらナルトが叫ぶ。

「ヒナタ…ヒナタ…好きだ…好きなんだ」
「や…お願…い…やぁ…」
「ヒナタ…」

ぎゅっとうつ向いてしまったヒナタを見てさすがに怯んだナルトは、ヒナタの肩から手を離した。
ほっとしたように肩を揺らしたヒナタにナルトの顔が歪む。
だが、ナルトは両手で挟むようにヒナタの頬に触れ、指先でやわやわと撫でたあと、ぐい!と上を向かせた。

愛しそうに微笑んだあと不安げな顔になり、

「オレの気持ち…メイワク…か…?」

そっと聞く。
先程までキラキラと輝いていた青空の眼が、不安げに瞬く。

ぷわ…と涙を溢れさせたヒナタは無理矢理下を向こうと顎を引くが、ナルトが手を離さないので頬が押し上げられ、膨れっ面のような拗ねた顔になってしまう。

『うわ…可愛…♪』

ナルトの気がそれた瞬間、ヒナタがか細い声で泣いた。

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