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「#幼馴染」のBL小説を読む
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拾捌 * 我慢…我慢…我慢

「あ…う…あ……その…」

全員に見詰められてナルトは完全に狼狽していた。ヒアシは下を向いて眼を閉じていたが頬に笑いを浮かべていたし、衝立の向こうも固唾を飲んでいる気配がありありだった。

「そ、そ、それは…」

ゆっくりとうつ向いてしまったナルトを、追求の手綱弛めじ!とばかりに更に皆に目力が籠る中、
ヒナタが、耐えられないといった様子で顔をそらしてうつ向いた。一番近くに居た我愛羅が気遣って手を伸ばしたとたん、

「うああーーーっ!」

ナルトがまたもや叫んだ。

眼を向いて涙を浮かべて歯を喰いしばって我愛羅を睨むナルトを、我愛羅も冷たい眼で見返した。

「なぜ触れてはいけないのか、いい加減説明してもらえないか?」
「…なんだか知んねーけど…ヤなんだってばよ!!!」

子供じみた様子で喚きたてるナルトに、いのは呆れ、サクラは呆気にとられた。

「アンタね…」

ナルトの叫び声に振り向いていたヒナタの眼からほろりと涙がこぼれ落ちた。
はた…はた…と落ちては、胸元の生地の色を濃くさせてゆく。

「ちょ、ちょっとヒナタ!」

それに気付いたいのが自分のジャケットを探って手拭いを取りだしながら慌ててヒナタに駆け寄り、その頬にそっと当てた。

「涙が落ちたら染みになっちゃうじゃない…ダメでしょ…ほら…」
「あ…あり…がと…いの…ちゃ…」

二人の様子を見たサクラは、キッ!とナルトを振り返ったが、ナルトも泣き出しそうな顔をしてヒナタを見詰めていることに驚いて表情を変えてしまった。
と、唐突に、

とす…!

と、ヒナタの顔に片手を当てたまま、いのがサクラを我愛羅の方へと突き飛ばした。

「…大丈夫か?」

片腕でそれを受け止めた我愛羅に、

「あ、ありがと…」

抱き止められたまま恥ずかしさに顔を赤くしながら礼を言ったサクラは、

「って!何すんのよーっ!いのーっ!!」

その姿勢のまま振り返っていのを怒鳴り付けた。
いのの行動の意味がわからず皆が唖然とする中、いのはナルトをじろりと見据えた。

「サクラならいいの?」
「へっ?」

声を出したのはナルトだったが、キバも我愛羅も同じ顔をしていた。

「ヒナタはダメで、サクラならどうしていいのかって聞いてんのよ!」
「ああ!確かに!」

いのの言葉に真っ先にキバが同調した。我愛羅はサクラを見下ろし、サクラは我愛羅を見上げてしばし見つめあう。

「あ……ぅ…ぁ……」

動揺して見比べるように首を振りながらナルトは更に真っ赤に染めて、眼に涙をためていく。

我愛羅に抱き止められたままサクラの眉間にも皺が寄った。
いのは怒ったままだし、先程まで我関せずという風だったキバも咎めるような視線でナルトを睨む。

それでも呻いたままはっきりとした言葉を発しようとしないナルトに、サクラといのは焦れた。舌打ちをしたいのをぐっと堪える。

「あ、あの、」

まだ眼を赤くしていたが、ヒナタがこれまでとは違う、いくらか明るい声を出した。

「ヒナタ…」

いのが気遣ってヒナタの肩に手を置いたのへ笑顔で応えると、ゆったりと皆を見回し、

「お茶は…どう…かな?お茶なら…皆のぶんも用意できると…思うの…」

そう言うとするりと立ち上がり、皆を避けて器用に裾を捌きながらするすると衝立の方へと進んでいった。
ナルトが悲しげな眼でその姿を追っているのを見て、サクラは我愛羅から離れて座り直すと、自分の右手を左手でぎゅうっと押さえつけた。

…ここが日向邸でなければ容赦なく殴っているところだろう…

いのとキバは、サクラの気持ちを察して密かにため息をつく。

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