拾陸 * ナルト…死す…?!
「えっ?て?…えっ??」
我愛羅の表情とヒナタの呟きに、ナルトも釣られるようにポカン…と口を開けた。
「?!?!?!?!」
ぶん!ぶん!ぶん!ぶん!と二人を交互に見るが、どちらも目を見開いたまま何も反応を返してくれないので、ナルトはだんだん不安になって来はじめた。
「へあっ…?あっ?アレ?アレ?アレレレレ???」
半笑いになって取り繕うように我愛羅を見てもヒナタを見ても、どちらも瞬きを繰り返すだけで口を開いてくれない。
「えーっとォ…あーっ…あ…あのォ…」
背中を丸めてデヘヘ…と頭を掻きながら、ナルトは目を細めて聞いてみた。
「んっとォ…今日…お二人さんは…ここでオミアイを…してるん…じゃあ…」
懸命に笑ってはいるが、さっきからいや〜な汗が背中といわず身体中をたらたらと流れている。
耐えかねたように喉の奥で、くくく…と笑いだしたヒアシが、
「…いったい誰がそんなことを?」
と声を掛けてきたので、ナルトはすぐにそちらをキッ!と睨んだが、
「だっ!誰がっ!がっ!…がっ…?!?だっ、誰っ?!?誰だったっけェーーーーーーー!!!」
すぐに混乱して頭を抱えて泣き叫んだ。呆気にとられたまま動かなかった我愛羅が、ぎゅうっと深く眉を顰めたのを見て、ナルトはたちまち青ざめた。
「ちっ…ちっ…チガウ…の…?」
きゅうぅっと丸まりながら上目遣いで恐る恐る我愛羅に尋ねてみれば、眉を顰めたしかめっ面のまま幼子に言い聞かせるかのようにゆっくりと大きく縦に首を振られてしまったので、慌ててヒナタ、次にヒアシを見てみるが、
…やはり同じように大きく頷かれてしまい…。
「マ、マ、マジかァーーーーーーーーーーっっっ!!!」
ナルトはついに白目を向いてその場に転がってしまった。
「ナ、ナルトくんっ…!」
慌ててそばに寄ろうとしたヒナタは、
「放っておきなさい」
「うむ…。俺もそのほうがよいと思う」
二人の言葉に『存外冷たい!』とばかりに涙目でキッ!と見てしまったが、
「でないと…ナルトはますますいたたまれないと思うぞ…」
我愛羅が続けたのを聞いてハッ!と動きを止めた。
心配をしているだけで恥をかかせたいわけではない。ヒナタはそろそろと元の位置へと後ずさった。
ナルトの酷い勘違いに、我愛羅は呆れてため息をつき、ヒアシは笑いが止まらず、ヒナタはどうしたものかおろおろとするばかり。
『お見合いじゃないーっ?!?!』
『ど〜ゆうこと?!?』
サクラといのも顔を見合わせている。
「全く…一体全体どこから…そんな話が…」
「ほ…ほ…ほんとだね…ど、どうしたんだろうね…?」
真っ白になってピクリとも動かないナルトを挟んで我愛羅とヒナタがごにょごにょと会話するのすら面白がっていたヒアシが、ついにたまりかねたように背をそらして大笑いをした。
「全くだ、このままでは埒が明かんな。」
滅多にないヒアシの大きな笑い声にヒナタが驚いて振り向いたが、ヒアシはそれに構わず、
「そこな者に説明をしてもらうしかあるまい」
そう言ってまた、くくく…と笑った。
ヒアシの言葉を受けて、キバがその場で立ち上がった。
『ちょ、ちょっと!?キバ?』
『な、な、な、何やってんのよ?!』
サクラが慌てて裾を掴み、いのも身を乗り出して手を伸ばしたが、
「おや?君らはどうするのだね?まだそこに居たいのかね?」
ヒアシにはっきりと視線を向けられ、サクラといのは、こくり…と息を飲んでもう一度顔を見合わせると、観念したようにそろそろと立ち上がり、ジャケットの裾を掴んだり肩でつつきあったりしながら顔を赤らめてもじもじと立ち尽くした。
[ 16/33 ][前] [次]
[目次]
[top]