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「#幼馴染」のBL小説を読む
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拾伍 * 一触即発?!

「そゆの……たまんねェ…んだ…ヤメてくれ……よ…」
「…ナルト?」

我愛羅は自分の手を掴みあげたままのナルトを振り返ろうとしたが、背に額を当てられてるので動けず僅かに身体を捻っただけだった。

茂みの中では、気味悪そうにサクラをつつきながら、あっちはあっちでおかしなことになっちまってるよな…といのに同意を求めようとしたキバが、いのが真剣な顔をしてナルトたちを見ていることに驚いていた。

『どうした?いの?』
『しっ!ちょっと黙ってて』

ピシャリと言われ、キバは肩をすくめた。

怪訝そうというより不快そうな顔をしていた我愛羅だったが、掴まれた腕を逆に掴み返すと、

「ならばお前が拭ってやればいい」

そのまま腕を捻ってナルトの身体をヒナタの前に押し出した。

「あ…」
「ナ…ナルトく…ん…」

突然お互いの顔が近づいて、ナルトもヒナタもどうしてよいかわからず固まってしまった。
が、ヒナタの眼からまた堪えていた涙がぽろりと落ちると、ナルトはぎこちなく指先を伸ばしてきた。

先程我愛羅がしたようにさっさと拭えばいいものを、こんなに近いヒナタの顔になかなか指が届かない。
ヒナタの方はといえばすぐにやってこないナルトの指を、待つべきなのか断るべきなのかわからず、やけに長い時間をどうしてよいかわからずナルトの指先から視線を外せずにいる。

「う…」

たまらず歯を食いしばったナルトの手が、ばたり…と落ちた。追いかけるようにうつ向いたヒナタの眼から、新たな涙がこぼれ落ちようとしたその時。

ナルトがしっかりとヒナタを抱き締めていた。

ナルトのジャージを涙で濡らしてしまわないようにとヒナタは顔を動かしたが、ナルトがしっかりと頭を抱え込んでしまう。

「泣くなよ…」

ヒナタにすら聞き取りにくいほど、掠れた小さな声。

「泣くなってばよ…」

そう言いながら、泣いてもいいと言うようにヒナタの顔を自分の胸に押し当て包むように抱き込む。
おずおずとナルトのジャージを指先で掴んだヒナタは、小刻みに震えていた。

抱え込んだ視線を下げれば、深く抜いた振り袖の衿からヒナタの白い首とそれに続く背中がのぞいている。初めて見るヒナタの首は心もとないほどか弱く細く、眩しいほどに白い肌は世の中の穢れという穢れをきっぱりと拒絶しているかのように輝いている。

着物に触ってしまわないように掌を握り込んだナルトは、くっと腕に力を込めた。眼を閉じて静かに数回深呼吸する。
やがて眼を開けたナルトはそっと腕をほどいてヒナタを押しやると、振り返って我愛羅と眼をあわせながらきちんと座り直した。

「我愛羅…」
「ん…」

力強く輝く蒼い眼。

「我愛羅が…我愛羅がヒナタに惚れてるってんならいい。我愛羅がヒナタじゃなきゃダメだってんならいい。でも、木の葉の名門からじゃなきゃとか、日向のお嬢さまだからとか、それでヒナタを、ってんなら、」

両膝に置かれた拳がぎゅっと握り込まれると、眼の輝きが一層増した。

「そんなんでヒナタを連れてくってのは…認めねェってばよ…!」

『あのバカ!そーじゃないでしょ!』

いのが鋭く言い放ったのでキバは仰け反った。なぜか怒りを露にしているいのに訳がわからずキバは首を捻る。

ナルトの言葉を正面から受けた我愛羅ははっきりと不快な表情になった。たちまち藤園の空気がビリビリと張りつめた。だがナルトは一向に怯まず睨み返す。

「俺とお前との話をしているのに、なぜ他の者の名を出すのかとさっきから問うている…!」

怒気を孕んだ我愛羅の声に、さすがにキバたちもヒヤリとした。サクラもすっかり青ざめ、いのも怒った表情をしたままだがやはり怯んでいる。

「俺とお前との間になぜ他者を挟む!」
「我愛羅がケッコンを急ぐからだろ!」

姿勢は動かぬが視線がギリギリとぶつかり絡み合う。

「さっきから一体なんの話をしている!?」

ついに我愛羅が怒鳴った。が、

「だから!我愛羅とヒナタのお見合いのことだってばよ!!」

それに勝る勢いでナルトが怒鳴り返した。

「…えっ…?」

呆気にとられた我愛羅の表情にナルトの毒気が抜けるよりも早く、ナルトの後ろでヒナタが小さく呟いた。

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