教わった!
今日もまた朝から受付所に行かねばならない。
支度を済ませたナルトは、朝御飯がわりの牛乳を冷蔵庫から出しながらあくびをした。
「なんかこう…めんどくさいんだよな…」
鳴りもしない首を左右に折って首筋をほぐした。
寝が足りているのかいないのか、起き抜けの調子がいまひとつよくない。
額宛をつかんだ手をテーブルについたまま、もう片方の手で牛乳パックを持ち上げて一気に飲み干した。
大戦後名前が売れて依頼が殺到するかと思われたナルトだが、実際には突出し過ぎた能力とそれに釣り合う高額の依頼金のせいかほとんど指名も掛からず、近年単独の大きな仕事の依頼そのものが激減していることもあって、ナルトのような攻撃型の忍が長期任務に当たること自体が珍しいという状況だった。
もっとも昔に比べて処理能力があがっているせいもあるかもしれない、予定日数を縮めてしまうことも多く、特に今月に入ってからは日帰り任務ばかりこなしていた。
つまり、このところ毎日朝に受付所へ行っては「今日の任務は?」と聞いているのだ。
「うい〜」
牛乳パックを持ったまま、ぐい、と口を拭うためパックを持っていないほうの手を口元へやろうとして、
かつんッ
軽やかな音を立てて白いプラスチックの容器がテーブルから落ちてどこかへ転がっていってしまった。
額宛の紐の端が当たってしまったようだ。
「…ッ!」
ナルトは顔をしかめると床にしゃがんで行方を追った。
昨日真っ暗な中帰宅した後、すっかり冷えた身体を暖めるためすぐに風呂に入ろうとして手にしていた容器を仮にここに置いたままになっていたのを忘れていた。
テーブルからだいぶ離れた床にぽつんと転がっていた容器は、窓から差し込む朝日に照らされ白く光っていた。
ナルトは静かに指先を伸ばしてそれを拾うとそのまま指先でくるりとなぞり、しかめっ面をしながらしまいこむと、無言のまま部屋を後にした。
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「ない?!ないってどーゆー意味だってばよ?!」
ナルトのすっとんきょうな声に辺りの人が全員振り返った。
「ああ?!うーん…うるさい!!」
綱手はナルトを見ないままイライラと書類の束を探り、一喝した。
「仕方ないだろう!お前に見合うようなデカイ依頼はそうそう来ないのだ!」
静まり返った部屋は、そうだよな…ナルトはすごいからな…という空気になるかと思われた矢先に、
「お前と来たら、繊細かつ根気のある仕事は無理で、ただただデカイのしか向いてないんだからな!」
「あが…」
続いた綱手の言葉とナルトの表情に、一気に爆笑の渦と化した。
「…んじゃあさ、今日オレ休みってことで…」
拗ねて唇を尖らせて行こうとしたナルトに綱手が、
「バカを言うな、人手はどこも足りないんだ、休んでもらっちゃ困るよ」
ようやくナルトを見て睨んだ。
「んじゃ、何すりゃいいんだよ!」
「んー…」
すぐさま書類に目を落とした綱手はそのまま、
「里中巡って誰かを手伝うなりして自分で探しな。で、何をしたか紙に書いて出すんだ。内容に応じて報酬を払ってやるよ」
そう言ってやはりさっさと出て行け、という仕草をした。
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「誰かを手伝えって言われてもなー」
ぶちぶち言いながらとりあえず外へ出た。
「サクラちゃん…はオレに医療忍術は無理だし…サイ…は絵を描けとか言われても困るしなァ…」
段々目が細くなっていく。さしあたってまずはと訪れたのは、
「よっ!チョウジ!」
「ナルト!どうしたの?」
材木を軽々と担いだチョウジがにこやかに振り返った。
土木工事の手伝いを、と思ったのだが、
「う〜ん、手は足りてるんだ。気持ちだけ頂いとくよ、ありがとう」
秋道親子に丁寧に礼を言われてしまう。
シカマルを手伝いに行こうとして、奈良家だけしか出入りを許されない管理地での仕事中だと断られ、
いのの花屋をと思えば、調査部の手伝いで機密を扱っている最中だからと断られ、結局十班の手伝いは全滅。
「次は八班当たるか…」
八班といえば広域を探る任務が多そうだし、それなら手伝えそうだ。ナルトは里を巡って三人を探した。
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