「うん…好き…だ…よ?」
初めてそう聞いてしまったのは、付き合い始めてから間もなくの頃。まだぎこちなくて、話がそんなに弾まなくて、突然訪れてしまった沈黙に耐えられなくなったナルトが思わず放ったひとこと。
ゆっくりとだけど、つられるようにして返事してくれた言葉が嬉しくて。
それ以来、ナルトのくせみたいになってしまっている。
「ヒナタ…俺のこと好き?」
「好き。…大好き」
ちょっとだけ目線を下げてはにかみながら返事をしてくれていたはずのヒナタが、目を見てふんわりと微笑んでくれていることに、ようやくナルトは気付いた。
「あ。…え、えっと…ごめん。俺ってば、今日何回聞いちまってた?ごめんな?」
へへへ、と頭をかきながら笑い返す。
照れ屋のヒナタに耐性がついてしまうとは、今日はさすがにしつこかったかもしれない。
「俺ばっかり聞いちまってて…はは、変だな」
照れを隠したいのだが、うまく言葉が出てこないナルトの顔が、ちょっとゆがむ。つられるように眉を寄せたヒナタを見て、悲しい顔をさせてしまったと思い込んだナルトは、
「ヒナタの気持ちを疑ってるわけじゃねェんだよ?!」
慌てて付け加える。
「そうじゃなくて…なんていうか…」
言い淀んで言葉を切り、すこし間をあけて言葉をつなぐが、
「ヒナタが俺を好きっていうことが…それは間違いないんだよなっ…ていうか…それがほんとで、ほんとに間違いなくゲンジツだよな?って…」
力尽きたようにうつむいてしまい、
「なんか…それが…気になっちまって聞いちまう…のかも…しんねェ…」
唇を噛んでしまう。
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