ヒナタの抵抗の仕方ときたらかなりのもので、「今日こそは!」と思い詰めたナルトが力任せに奪おうとしたときなど、点穴を突くという卑劣な…いや、本気の必死の反撃をかまして来、しかもそのまま走り去られたお陰で、親切なはたけカカシ様(しばらくはそう呼べと約束させられた)が、通りすがるまでじっと転がっているしかなかったという仕打ちまでうけた。
『カカシ先生ってば笑い転げてなかなか助けようとしてくんなかったしよー』
あの時の惨めな気持ちときたら。
あの時とおんなじ姿勢になっていることに気づかぬまま寝転びながらぶつぶつ言う。
それなのに、翌日目に涙をいっぱいためて「ごめんなさい…ナルトくん…ほんとにごめんなさい」と何度も謝るヒナタにぐんにゃり、となってあっさり許してしまったという自分の不甲斐なさ。
『だいたいヒナタが可愛すぎんのがいけねェんだ…』
腹立ち紛れにだんだん訳のわからない理屈になっているが細かいことにはかまっていられない。
とにかく!とにかく!ちゅーしたいのだ!
俺はカレシなんだから権利はあるのだ!
なのになんで許してくんねェの!?
理由は簡単。
ヒナタがまだ恥ずかしがるから。
徐々に徐々に慣らしていくしかないのだ。
しかしそれでは
「ま…て…な…い…んだっ…てば…よゥ…!」
ついに涙に鼻水も混じって滴るが、細かいことにはかまっていられないのだ。
待てない…しかし待つしかない…。
「ちっきしょー!!」
がばり!と身体を起こしてひとこえ吼えると、
「特訓だ!訓練だ!鍛練だぁあああ!」
ありあまる欲求不満を運動で発散すべく、家を飛び出したのだった。
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