空には一面の星々。
うわぁとかふわぁとか言いながら、どの星が好き?だとかあの星は何色って言うんだろうね?だとか、指差して空を見上げたままおしゃべりしていたら、せっかく暖まった身体はすっかり芯まで冷えていて、
「早く早く!帰ろうぜ!」
「うん…風邪引かないようにしなくちゃね…!」
ナルトとヒナタはどちらからともなく自然に手をつないで駆け出した。
お互いの家路を分ける角が近づいてくる。
ナルトの手からするりと引き抜かれようとしたヒナタの手が、再びはっしと強く握られたから、
ヒナタが驚いて思わずナルトの顔を見たら、イタズラっぽくニシシ!と笑ったかと思うと、
くんっ!
と手を引いて、ナルトは自分の部屋への階段を一気に駈け上がってドアの前で立ち止まった。
なんとかつんのめることなく着いてこれたヒナタが一息つく間もなく、ナルトは急いで部屋の鍵を開けると、そのままヒナタと玄関に飛び込んだ。
「さみー!さみー!なぁ、もっぺんあったまってから帰れよ?」
振り返った頬が赤いのは寒さのせいだけではないような気がしたけど、
「うー!さみー!」
と大袈裟に震えながら暖房機をつけてまわるナルトの背中を、ヒナタは玄関から困った顔をして首をかしげて眺めた。
「…んなトコいたままだと風邪引くぞ…」
唇を尖らせてボソボソ呟きながら玄関まで戻ってきてくれたナルトに三度手を引かれてようやく靴を脱ぐ。
「…冷てェ…」
「あっ!ご、ごめんね…っ!」
冷えきった指先が、優しく包むナルトの手から熱を奪ってゆくのが申し訳なくて謝るヒナタに、
「だから!あったまってけっつーの!」
ナルトは握ったままの手を、うつ向いた二人の視線の真ん中にして、こちん…と額をあわせた。
するん、と手を離すと急に
「あーっ!でもこの部屋、なっかなかあったまらねーなぁ!」
背を向けたナルトはどたばたと足音を立ててベッドに向かい、
「さみー!さみー!」
と言いながら布団に潜り込んでしまった。
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