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- ナノ -
こうしたことは珍しいことではなく、昔も今も任務が大好きで実力に見あっていようがなかろうがやりたがるナルトにしては珍しいと、ヤマトもサイも不思議でならないが、

「限界…一回…帰りたい…」

カカシの呟きにナルトがぴくりと反応して、ぶい、と横を向く。

「帰ったって『会える』とは限んないのにねぇ〜」

そむけた顔をナルトはぎくっ、とひきつらせる。

「なななな、なんでだってばよっ…じゃなくて!なんの話…っ」

わたわたと取り繕うナルトの言葉を遮り、

「このまま4人で行くわけじゃない。援軍も来る。一気に片付けたいからな」

隻眼を細めてカカシが笑うや、一陣の風と共に静かに降り立った援軍の中にいたのは、

「ヒナタぁ!!」

着地と同時に大声で名前を呼ばれ目を白黒させたヒナタは、バリバリと紙切れのように拘束を解いて飛び出したナルトに突然抱き締められ、益々動揺する。

「?!?!?ナ、ナルトくん…???」

ヒナタの呟きを聞くや、ナルトは髪に擦り付けていた頬を離してヒナタの顔を覗き込み、

「ヒナタっ♪ヒナタっ♪」

満面の笑みで名を呼ぶと、

「会いたかったァ…ヒナタぁ…♪嬉しい…」

目を細めると再びぎゅうぅっと抱き締めた。

突然臆面もなく巻き散らかされるハートマークに、到着した忍たちはヒナタ同様呆気にとられて停止してしまうが、
本当に久方ぶりにナルトの笑顔が見れたヤマトとサイは、心から安堵した。

会いたかったからなのか…そうかそうか…

やはりナルトは笑顔でなくては。
このところ漂っていた重苦しい空気は、任務の難しさよりもナルトの笑顔がなかったせいだったんだな…しみじみと実感する。
それは援軍で来た者たちも実は同じで、彼らにとっても里からも久しく失われていたナルトの笑顔。

見ているこちらまで嬉しくなる、本当に太陽のような輝き。

微笑ましくはあるが…

いつまでも離してもらえないヒナタがだんだん気の毒になり始め…

一向に止む様子がないことに呆れ始め…

そして、カカシの背中には冷たいものが流れ落ち始めた。

「センパイ…」
「何…?テンゾー…」
「たぶんナルトは…説明聞いてないと思うんですけど…」
「…やっぱり?」

ははは…と渇いた笑いがマスク越しにもれる。

「嬉しーなァ、このまま一緒にかァ〜♪すっげー嬉しいッ♪」

すりすりと頬を擦り寄せるナルトに、嬉しさに頬を染めつつも恥ずかしくてたまらず涙を滲ませるヒナタ。

「このあと事態を終息させ次第、我々は帰里ですが…」
「ヒナタは引き続き次の任務へ…」
「………今バレたら…命落としますよ…センパイ」
「はは…ははは…そうだよね…」

喜びのあまり、ぽこぽこと九尾チャクラを漏らし始めるナルト。

いつ出立するんだよ?!
動揺が広がり始めた小隊へ指示が出せぬまま、はは…ははは…と笑い続けるしかないカカシなのでありました。


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