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おれんじ
「だーーーっっっ!もォ無理!無理無理無理無理無理ィーっ!!!」

苦虫を噛み潰した顔をして黙りこんでいたナルトが突然天を仰いで叫び、額を付き合わせるようにして両脇にいたヤマトとサイが耳をふさいでのけ反った。

「ナルト…」

正面にいて説明をしていたカカシが呆れて呟くが、ナルトは全く耳を貸さない。

「もー無理だってば!俺は帰る!木の葉に帰るーっ!」

涙をふり飛ばして駆け出そうとしたナルトを慌ててヤマトが、

「木遁!!」

素早く繰り出した木の綱でぎりぎりと拘束した。

「話は最後まで聞きなさいよ…」

やれやれ、とカカシがナルトの正面にまわりなだめるが、ナルトはじたじたと足をバタつかせ、

「だけど!カカシせんせェ、俺いったいどんくらい木の葉離れてると思ってるんだってばよ!もー限界だ!もー帰るーっ!」

ついには首も左右に振りますか…
なんか昔見たことあったなー、こんな光景…

カカシは、まだ額宛で顔の半分を覆われていた当時となんら変わらぬナルトの態度に、呆れているようだが、どこか楽しそうでもある。

「連続任務なんて無理だァ!一回木の葉に帰るーっ!」

本気になればもうヤマトの木遁なんて破るのは造作もないのにこうして喚いているのは、ただただ駄々をこねたいだけなのだ。
それに気づいてヤマトもつい苦笑してしまう。



ナルトが、ヤマトとサイのスリーマンセルで里を出て三週間あまり。ひと月はかかるだろうと言われた任務はそのくらい時間をかけよという意味でもあり、さくさくと事をすすめたいナルトにしては辛抱強くかつできる限りを尽くして、任務完了までの日数をじりじりと縮めて来たのだ。任務を言い渡された時から不満そうだったナルトが日に日に不機嫌さを増していくのを気遣いつつ、ようやく帰れる、この重苦しい空気からも解放される、と胸を撫で下ろせると期待した今日、

「悪い。そのまま次の任務に行って欲しい」

カカシが新しい指示を持って現れたのだ。

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