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- ナノ -
「よー、みんな!ほんとにありがとなー!」

もらったプレゼントを前に本当に嬉しそうなキバ&赤丸。
今日は二人(?)の誕生日。いつもの八班の四人(?)での焼き肉Qでの誕生日会に今年は、サクラ、いの、ナルトも来てくれて、いつもより数の多いプレゼントにキバも嬉しそうだ。

「ヒナタ!アドバイス、ほんとありがと」

幹事のシノが支払いをしてくれている間に店を出ながら、いのとサクラがヒナタにこそこそと話しかけた。

「キバの喜ぶものがわかんなかったら赤丸のものでいい、って、助かったわ〜」
「ど、どういたしまして…」
「赤丸の喜ぶものならキバも喜ぶって、盲点だったしね〜」
「う、うん…。それに、今日は赤丸くんの誕生日でもあるしね…」

そう言うヒナタはさすがに馴れたもので、ちゃんとキバ用と赤丸用と二つ用意していて、改めて同じ班として過ごしてきた絆を感じる。

「わー♪見てー!すごい星!」

サクラに言われて空を見上げると、満天の星々。

「そーいや七夕近いんだものね〜」

いのも空を見上げたまま言う。

「年に一度の逢瀬かぁ〜♪ロマンチックよねぇ〜♪」
「えー!アタシは年に一回だけなんてイヤだわ!」
「あんたには、ロマンってもんがわかってないのね〜」
「だって!さみしいじゃない、もっと頻繁に会いたいじゃない!それが乙女心ってやつなんじゃないの?!」

きゃあきゃあと言い合いを始めた二人を先頭に行かせ、男子三人とヒナタは後ろからのんびりとついて行く。

「ね〜!子供の頃さ〜、短冊に何て書いた?」

まだ二人でじゃれあいながらいのが聞いてきた。

「俺はやっぱ『赤丸ともっと仲良くなりますように』かな」

嬉しそうにキバを見上げる赤丸とおんなじ表情をしたキバが、赤丸の首らへんを撫でてやりながら言う。

「うちはかーちゃんもねーちゃんも早くからすげー有名な犬使いだったから、俺も焦った時期とかあったなぁ」

ナルトには、赤丸の“嬉しそう”と“気持ち良さそう”の見分けがつかないが、どこかで変化したりしてるんだろうか、などと思いながら聞く。

「赤丸くんは…やさしい性格で…最初はほんとにおとなしかったもんね…」

ヒナタが当時の二人の光景を思い出したのか、ほんわり微笑みながら言う。
言われてみれば、元気で乱暴だったキバの懐からこぼれ落ちないようにと必死な赤丸をよく見かけていたような気もする。

「ちなみに俺は…」

シノが言いかけるが、サクラが、

「アタシはねぇ〜『ステキな彼氏が出来ますように!』よ!」

きゃはーっ♪と黄色い声をあげてしまったので、

「なぁに?ソレ?他力本願ねぇ〜」

すぐさまいのがつっこんでしまい、

「じゃあ、いのはなんて書いたのよ!」
「決まってるでしょ?『ステキな女性になりますように』よ♪」
「そんなの…自分の努力でなんとかしなさいよ」
「あんたこそ、お星さま任せってどーゆうことなのよ〜」

また二人きゃあきゃあとはしゃぎまわるので、シノの言葉は完全にかき消されてしまう。

珍しく黙ったままにこにこしながらついてくるナルトに、いのが、

「ナルトは〜?なんて書いたの〜?」

声をかけてきた。

「オレ?」

ちょっと目を見開いてから、ぐるりと目を回し、

「んー…いっぱい書いたから覚えてね!」

ニシシシシ!と笑った。

「ヒナタは?」

今度はキバが聞くと、ヒナタもゆっくり首をかしげながら微笑み、

「私も…たくさんたくさん書いたから、結局どれを飾ったかわすれちゃった!」

ふふふ、と笑った。

「なんだ、お前ら案外欲張りなんだなぁ〜」

キバがからかうのへ、

「んなの、書くだけ書いたもん勝ちだろ?」

ナルトが笑う。

キバがいのとサクラのじゃれあいに加わったが、相変わらず黙ったまま歩いているナルトに、そっと並ぶように歩いていたヒナタが、ナルトのほうを向き、

「ナルトくん…そのときの短冊、まだ持ってる?」

と、そっと聞いてきた。ナルトはぴくん、と身じろぎしたが、

「いや…たぶん捨てちまった…と、思うけど?」

と答えると、

「そっか…」

呟くと、ヒナタはまた前を向いてしまった。

「なんで?」
「うーん…あのね…」

聞くと、ヒナタは前を向いたままやわらかな表情で、

「私ね…実はまだ持ってるの…処分しそこねちゃって。いい機会だから、明日の晩にでも燃やしてしまおうかなぁって…」

そこまで言うと空を見上げ、

「お空に返してしまおうかな、って思って」

さっぱりしたような顔をして言い切ると、ナルトのほうを向きまた、ふわん、と 笑った。

捨てられなかった幼い日の願いは、きっとらちもないことばかり。叶ったのか叶わなかったのかわからないが、七夕の空へ返してしまえば、確かにさっぱりと先に進めそうな気がした。

「そっか…。明日?どこで?」
「えっ?」
「なんつーか…立ち合っていい?…ソレ。ヒナタさえ良ければ…」
「ナルトくん…」
「いや!別に読まねェから!読みたいからじゃなくって!そーじゃなくて、なんつーか…」

あわあわと言い訳をし始めたナルトへ、ヒナタはすこしだけ泣きそうに見える笑顔をし、

「ありがとう…ナルトくん。お願いします…」

そういうと、ペコリと頭を下げた。

「あっ、あっ、いや、なんだ、その…」

照れてますます慌てるナルトへ、向こうからキバが、

「なーなー、ナルトー!何個かくらいは覚えてんだろ!教えろよー!」

からかってきた。

「だァら、覚えてねーんだってばよ!」

これ幸いとそっちへ乗っかる。

「どーせ『火影になる』は入ってんでしょ!」
「そりゃ、基本中の基本!あったりめェだろ!」

ニシシ!と笑いながらあちらへ加わろうと駆け出した。


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