「いっ」
「どうしたの?」
「口切れた」
「今日乾燥してるもんね。リップは?」
「んなもん持ってねぇよ」
「持ってないのっ?」
「女じゃあるまいし持ってるわけねぇだろ」
「もー、仕方ないなぁ。屈んで」
「あ?」
「はい屈む!」
「おう」
「よし」
「……何で持ってんだよ」
「切れて痛い思いするの嫌だから」
「女子か」
「ちゃんと男子です」
「知ってる」
「よし、もういいよ。唇ガサガサのイケメンとか嫌だからちゃんとリップ持ってよ?」
「おう。…まずい」
「あっ!舐めちゃ駄目だって!塗った意味ないじゃんか」
「もう一回」
「仕方ないなー。次は舐めちゃ駄目だからね」
「おう」
「ってまた舐めてるし!」
「早く塗れ」
「はいはい今度こそ舐めるなよ?」
「……」
「ああーっ、また!」
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