二人乗りの罠 | ナノ
 



「お、おい。本当に大丈夫か?」

「大丈夫だってー。心配性だなー。うぉっとっとーっ!」

「おぉうっ!大丈夫じゃねぇだろ!代われっ、俺がこぐ!」

「嫌ー。いつも後ろに乗っけてもらってばっかは悪いじゃない?たまには俺がこぐから後ろで大人しく…おーっと」

「うわぁあっ!いつも乗っけてんのはお前のがちっこくて細いからだっ!俺乗っけてこげるわけねぇだろっ」

「やってみなきゃ分かんないって」

「もう分かってるから!さっきからハンドルふらっふらじゃねぇか!」

「ははは」

「笑い事じゃねぇ!」

「俺は代わりませーん。振り落とされたくなかったらしっかり掴まってて?」

「………」

「そんなんじゃ落ちちゃうよー」

「ぎゃあっ!危ねぇって!」

「最初からしっかり掴まってないからだよー」

「うるせっ」

「でも、うーん…これぐらいでふらつくなんて男として問題だよね。ねぇ、腕力つける為にこれから毎日俺がこぐから」

「はぁ!?いつか怪我するからやめろ!」

「いーや。協力してよー。ねー」

「あああああ振り向くなっ!前向けっ!」

「じゃあ協力してくれるー?」

「分かった分かった!頼むから前向けぇっ!」

「はーい」

「(はぁ…これから毎日こんな恐怖を味わうのか)」

「(これで明日から毎日抱き着いてくれるのかー…もうちょっとこげないフリしよーっと)」

「おおい!車道にはみ出てるって!ちゃんとこげ!」

「あははーっ」



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