クラスメイトの嘆き | ナノ
 


どうも。俺はとあるクラスメイトです。
毎日大好きな前崎君を眺めています。
1年に続き、2年も前崎君と同じクラスなのは嬉しいけど。
2年に入ってから変わった事があります。

それは、毎日のように前崎君の傍に平凡な相沢って奴がいる。


どうも彼らは同室らしい。
羨ましい。
まさか前崎君ほど人気がある人が一人部屋じゃないなんてビックリだ。
相沢の奴も自分はラッキーだとか思ってるに違いない!
自慢じゃないけど、俺だって顔立ちは整っている方だ。
あんな奴より俺の方が前崎君と釣り合ってるのに!

いつの間にか俺は前崎君と同じぐらい相沢を観察していた。

相沢は本当に目立つ要素がない平凡。
だから前崎君も安心して接してるんだと思っていたけど、ある日から相沢の様子が変わった。
何と言うか、前には感じられなかった色気が出てきたと思う。
たまに悩ましげな表情を浮かべて溜息を吐いたりしている。
何でだろう。あいつがその、可愛く見える。
有り得ない!ただの平凡なのに!

相沢が席を立った時、首元に赤い痕が見えた。
あれって…


「ねぇ」

「!?まっ、前崎君っ!」

急に声を掛けられ驚いて見上げた先には前崎君が居た。
まさか彼から声を掛けてくれるなんて!
でも、今は前のようにドキドキしない。
寧ろ、相沢を見ている時の方がドキドキする。

「君、いつも優を見てるよな」

「えっ…」

いつもみたいに優しい笑顔を浮かべているのに前崎君の目は冷たい。
背中に嫌な汗が流れる。

「そっ、そんな事ないよっ!」

「それなら良いけど……優は俺のだから」

耳元に寄せられた唇が発した声の低さに顔が引き攣った。
離れていく前崎君の笑顔は凄く綺麗なのに怖い。

「疾風ー、早く行こー」

「今行くよ。…忘れないでね、これは忠告だから」


俺に軽く手を振って前崎君は相沢の元へと行った。
あの2人は…
そう思ったら羨ましくなった。
その感情は前とは違っていて。
相沢じゃなくて前崎君が羨ましかった。


前崎君が居る手前、もう相沢を眺める事も難しくなってきたけど、思うぐらいは自由だよね?
まさか俺があんな平凡に心を奪われるなんて。

しかも前より叶わない恋に深い溜息を漏らした。



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