分からない儘でいたい/ジャンルなし


▽気になったお題で何か書きたかった代物

 頭の隅に残る問いかけがある。
 それは電車を待っている時だったり、お風呂に入っている時だったり、自室で勉強していて一息吐いた時だったり。日常の隙間に不意に現れては、わたしが答えを出す前にいつの間にかどこかへ消えてしまう。
 その度にわたしは自問自答を繰り返した。
 ――きみの、そういうところがきらいなんだ。


 蝉の鳴く音が煩わしい。下敷きで顔を扇ぎながら、わたしは呻いた。
「あつい…」
「声に出したらますます暑く感じるらしいよ」
「ええ、そうなの?」
「らしいよ?」
 じゃあ別のこと考えなきゃ。
「……アイス。アイス食べたい」
「あたしもー。帰りコンビニ寄ってく?」
「うん」
 放課後の予定が決まったところで、ガラガラと教室の引き戸が開かれた。
「はいみんな席に着いてー。HR始めるよ」
 担任が入ってきた。だらけていた体を反射的に正すのとほぼ同時に真横の席の友人も前に向き直る。
 午後のギラギラとした日差しが、窓際に座るわたしを突き刺していた。

「やっぱり夏はアイスだよね」
「だね」
 HRもつつがなく終わり、放課後はすぐ部室に走っていたわたしだったが、部活は最終学年となってから既に引退している。前よりも自由な時間が増えたと初めの頃は喜んでいたが、季節が進むにつれ空いた時間を持て余すようになっていた。

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