魔法→忍たま


▽よそ様の神作品に漲った結果。頑張って続きを書きたい。夢主の性別はまだ未定。


 マグルにはマグルの図書館があるように、魔法族の為の図書館というのも存在する。
 行政機関としての側面も併せ持つ魔法省が管轄している図書館は、英国各地に転々と存在していた。
 その中でも一番辺鄙な場所にある図書館に、なまえは遙々ロンドンから荷物を携えてやってきていた。


 五年時の寮監との進路相談の際に、帰来の本好きなところや手先が器用であること、得意科目などを考慮して、幾つか職業を紹介された。
 なまえもよくお世話になっていた図書室の主であり、現役司書であるマダム・ピンズの意見も参考にしながら、最終的に名前が選んだのは本の修復士だった。
 師匠や先輩達のもと、技術を学びながら日々持ち込まれる書籍と格闘している内に、最初の一年はあっという間に過ぎた。
「図書の修復依頼……ですか?」
「ああ。図書館は老若男女問わず本を貸し出すという性質上、本の劣化は免れない。一年に一度、ちょうど今ぐらいの時期にまとまった休みをもらって在庫点検をするんだが、その際に本の修復を僕の工房のように専門的な機関に頼むんだよ」
 なるほど、と真面目な表情の弟子に師匠はにっこりと笑いかける。
「という訳で、これからすごく忙しくなるけどへばらないように頑張ってね」
「……はい」
 なまえは恐々と頷いた。すれ違い様に先輩が励ますように肩を叩く。格式高いこの工房、腕利きの店主が直々に師匠となって新人を指導するのだが、スパルタ教育で有名だった。


「あー。疲れた……」
 想像を絶する量とは言え、軽量化と圧縮の呪文をかけていたのでお届けに上がるのはそれほど大変ではなかった。
 問題は、依頼先の図書館に着いてからだ。
 不幸が重なり、職員の数が圧倒的に足りない図書館は明日の開館を控えててんてこ舞いだった。
 頑張ったご褒美として図書館の近くにある湖水地方の自然豊かなコテージにゆっくり一泊してきなさいと送り出されて密かに楽しみにしていたのだけど、大切な顧客が困っているのだし今後ともご贔屓にという多少の打算もあって、見るにみかねたなまえが一緒に来ていた先輩と共に師匠に許可をもらい、手伝いを申し出ると諸手をあげて喜ばれた。
 ピーターラビットの故郷だとはしゃいでいたやや乙女趣味の先輩は、師匠に食い下がって明日の半日だけ休みにしてもらっていた。魔法を駆使して最短で縁の観光地を巡るのだろう。
 ちなみに付き合わされるのは確定事項だ。片親がマグル同士で、マグルならではの話題を共有出来るなまえは殊の外気に入られていたし、なまえもまたお調子者だが優秀な先輩を慕っていた。
 種類別に分類して、本棚事に割り振られたコーナーへ杖を振って丁寧に収めていく。
 立ったり屈んだりの動作を繰り返して、痛んできた腰をトントン叩く。
「やっと目処が着いた……」
 足元の本を確認し、上を見上げたなまえは、あれと首を傾げた。
「こんな本あったっけ?」
 職員が修復に出し忘れたのだろうか。本棚の端っこに、薄汚れた本が周りの本達に押し込まれるように鎮座している。
 まあいいか、と深くは考えずタイトルが掠れて読み辛くなっている本を回収する。なまえは残り僅かとなっていた書籍を手早く本棚に直すと、改めて薄汚れた本を手に取った。
「ええと……あれ? もしかして――日本語?」
 久しく目にしていなかった母国の字になまえは目を丸くする。懐かしさを覚えて背表紙をなぞった。
 どこの図書館にも外国図書は一定数ある。ましてや、魔法界の図書館は規模も大きい。だが、その中でも英訳されていない書籍とは珍しい。
 まさか、中身も日本語?
 英語圏の国でそれはないだろう……と、一概には言い切れないのが魔法界だ。
 もしかしたら日本語のままじゃないとその真価を発揮出来ない、という可能性も充分有り得る。
 少々の好奇心と、懐かしさから手にしていた本を開いた。ぱらぱらと捲ってみて、なまえはがくりと肩を落とす。
「読めない……」
 まるでミミズがのた打ったような文字。これは、現代で一般に使われている文字ではなく、草書体。古い日本語だった。
 落胆の色を隠しきれず、最初の一ページに戻ってきた時に、なまえははたと気付いた。何故かそのページだけ、現代的な日本語で書かれている。
「なになに……これは日本がまだ日の本と呼ばれていた時代を記録したものである……?」
 訥々と久しぶりの母国の言葉を読み上げるなまえは気付けなかった。
 ――足元に渦巻く不思議な魔法陣の存在に。


 自身の所属する委員会ではすっかりお馴染みの地獄のいけどんマラソンに参加していた皆本金吾は、もう何個目の山を越えただろうかと朦朧とする頭で思い返した。裏裏裏山を越えた辺りから、ふっと意識が堕ちそうになって、その度に前を行く時友四郎兵衛や次屋三之助が振り返ったり、迷子紐を腰に括り付けた平滝夜叉丸はわざと走る速度を緩めると金吾の隣に併走してがんばれ。もう少しだ! と声をかけてくれる。
 だから金吾は歯を食いしばって、懸命に前を走る先輩達の背中を追いかけ続けた。

▽体育委員会に発見させようという流れ。暴君に敵じゃない認定されれば過ごしやすくなること間違いなしだと思いました。修復士やらは私の空想です。司書がいるくらいだし、ハリポタ世界の職業はマグルと似通う部分もあるので捏造しました。
▽図書委員会のお手伝いとして忍術学園で働く。禁書みたいなものだが夢主は読めないから大丈夫…か?
▽英語喋れるから通訳として福富屋に雇われる。両親の仕事の都合で渡英。夢主は純日本人だが小さい時に日本を離れてそのまま英で就職した為、文化や歴史に疎い。
▽魔法ばんばん使いたい。魔法省が気づいてくれという意図もあったりやけになったりで魔法使う→魔法省こなくて絶望する
▽一年は組のよい子達が大好きなので仲良くさせたい。

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