Act.21



「ヒャッホォォォォォこれあたし!?あたし!?」
「似合ってるよ」
「ありがとう山崎さん大好き!」


髪を切ってあげたら最近人気のご当地キャラクターの黄色いやつ並に喜んでたから切った側としても嬉しい。女の子の髪の毛切るなんて初めてだし最初はすごく戸惑ったけど。


「ほんと理想!こういう髪型を求めてとんだよ山崎さん天才!」


はるちゃんの髪型は元々背中半らいあったんだけど胸上ぐらいまでばっさり、前髪もセンター分けだった
のをばっさりいった。


「にしてもはるちゃんなんでいきなり髪なんか」
「んーなんとなくだよなんとなく」
「そっか。まあそうだろうとは思ったよ」


この子思い立ったらすぐ行動だもんなあ。そこが長所であり短所でもある。何も考えないからほら、前みたいに怪我して帰ってきちゃうし。


「土方さんと沖田さんにも見せてくる!」
「その前に風呂入っちゃいなよ」
「はーい」


ドタドタと足音をたてて走って行ったはるちゃんの背中を見送った。











部屋で特に何をするでもなく机に頬杖をついて呆けてたらドタドタとうるせえ足音が聞こえた。大方あいつだろう。部屋に入って来るかと思ったがそのまま通り過ぎて行った。

特に気にせず相変わらず呆けてたら数十分後に障子が大袈裟に開かれた。


「うるせえよ!!静かに開けろって言ってんだろうが!!」
「ごめそごめそ」
「おま、はるか」
「はるちゃんですよ〜似合います?」


ああ、まあどっちかっつーと似合うんじゃねえか。いや、こいつ顔だけはいいし、普通に似合ってる。


「ちょっと土方さあん」
「あ、ああいいんじゃねえの」
「ダメダメ!山崎さんみたいな爽やかさを取り入れないと!!はいテイク2!」
「しょっぴくぞ」
「さーせん」


目の前にはるがドスンと座った。風呂上がりなのかシャンプーの匂いが漂ってきた。いやいやいや、こいつちょっと自分が女っていう自覚持った方がよくね?


「なに気持ち悪りぃ顔してんでィ、ムッツリ」
「ああん?誰がムッツリだ誰が」
「やだなあ土方さん雌豚と土方さんに決まってんだろィ」
「イタイイタイイタイイタイやめてあたしの清らかで美しい髪の毛をそんな汚れた手で、すみません嘘ですすみませ、ウホァァァァァァァ!!!」


来て早々何やってんだよ。頭を手でさするはると毛束を持った総悟。何があったかは一目瞭然。


「いてえよ!!禿げたらどうしてくれんの!!」
「すいやせん雑草かと」
「誰の髪が雑草だ殺すぞ」


つーかこいつはるが髪切ってんのに触れねえの?気付いてねえのか?


「沖田さんみて!!似合います?」
「何がでィ」
「え?いやいや、は?」
「いつも通り腐った面して何言ってんでィ」
「顔じゃなくてね?ほら、何か変わったよね?」


マジかよこいつ気付いてねえのかよ。やべえよ流石に可哀想だろ。見ろよ腐った面って言われてんの肯定してんぞ。


「本気?」
「意味わかんねぇんで失礼しやす」


それだけ言って部屋から出て行こうとする総悟を呆然とみるはる。こいつ泣きそうじゃね?

どうフォローしようか悩んでいたら総悟が思い出した様に振り返った。


「あ、そういや髪、いいんじゃねえの」




はいアウト
(イケメンかよ結婚しよ)

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