Act.20
「ひーじかったさあーん」
「なんだ」
長い髪の毛を揺らしながら走ってきたはるに返事をしたら立ち止まった。そういえばこいつ髪伸びたか。
「ねーねーツインテきゃわうぃ?きゃわうぃーやろ?」
「あーはいはい可愛い可愛い」
「山崎さんにやってもらったんだ〜ららら〜」
いつもより数倍高いテンションでスキップしながら去っていくはるを見て転ぶだろうなあとか考えてたら案の定、転んだ。
「ブベラッ…いってえよにーちゃんちゃんと前見て歩きな!」
あいつ誰と話してんだ。今この廊下は俺とオメェしかいねえぞアホ。
「土方さん」
「なんだ」
「あの子頭おかしいですよ」
「知ってらァ」
後ろに居たらしい山崎がもっともな事を言ってため息をついた。はるに関してはこいつが1番苦労してるしな。
「はるちゃん髪切るらしいですよ」
「は?何でまた急に」
「あの子の事だからどうせなんとなく、とか言うんでしょ」
「……」
まあ、確かに。髪切んのか、もったいねえ気もするが別にどうとも思いはしねえな。
「あ、いたいた!やまざきさーんはやくうー」
さっき角を曲がったはずのはるが一周したのか後ろから来た。
「はいはい。室内だと髪の毛散らばっちゃうしそこで待ってて」
「はーい」
山崎に指示された通りすぐそこの縁側に座るはる。こいつらほんとに仲良いな。
「お前が髪切んのか」
「はい」
じゃあ俺ハサミ取って来ます、と走って行った山崎を横目に縁側で足をぶらぶらさせながら座るはるの髪に手を伸ばした。
「髪、切るんだってな」
「はい〜」
「…なんでだ」
「んー、なんとなく?」
さっき山崎が言った通りだ、と思うと山崎は本当にこいつの母親だ。
「短いのにあいますかね」
「さあな」
Act.20 似合わねえ事は無いと思う
(少しもったいないけど)
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