Act.17
「風呂はーいろっと」
男所帯の真選組には女風呂がない。だからあたしが風呂に入るのは大体皆が寝静まって夜の巡察組が出たころ。
だからどんなに寒くても汗をかいていても風呂に入れない。まったく辛いもんだ。ぷんすか
そんで今日もいつもどおり風呂に入ろうと脱衣所で服を脱いで居た訳だが。
どうやらあたしはミスったらしい。
「ひぃぃぃぃぃじかたさん!?」
「は、おま、はる!?」
巡察組が出るのを待っていたら寝てしまったあたしは巡察組が帰ってくるころに風呂に入ったらしい。土方さんが居た。半裸状態で。
「どどどどないしよ!まって、ちょ、土方さん出て!」
「あ、あ、ああ」
顔を真っ赤にして慌てて出て行こうとする土方さんを見送ってたら扉の向こうに人影ができた。
どうしようまずい。これはまずい。まって見られる!!!
あわあわとどうするか焦っていたら土方さんに手を引かれて一気に視界が真っ暗になった。
「……ちょ、え、」
「静かにしろ」
小声で言う土方さんに色気を感じて危うく鼻血が出るとこだった。
小さな掃除用具入れの中に人2人が入るのはかなりキツイ。そしてものすごく近い。というかもう全身ピッタリだ。
「……犯す」
「刺すぞ」
「さーせん」
…どうしよう柄にもなく恥ずかしい照れる緊張する。やばいまじやばい早くお前ら風呂はいって。
あたしも土方さんもほぼ半裸状態の訳だから身体が密着しすぎてる。死ぬ。
このままバレなきゃいいけどな、このままバレなきゃいいけどな。って呪文の様に唱えていたら真っ暗だったはずの掃除用具入れの中が明るくなった。
それから目の前に居るのは目を見開いた沖田さん。わざとかとも思ったが顔を見る限りそうでもないらしい。
とりあえずすぐ閉めてくれた。
「オメーらさっさと風呂入りなせェ」
「へーい」
お、沖田さんが優しいだと!?明日は槍が降るね。
ガラガラと戸が開く音とピシャリと閉まる音が聞こえて、それから静かになった事からたぶんみんな風呂入ったのかな。
「……何してんでィ」
「風呂入ろうとしたら土方さんがいた」
「バカですかィ、さっさと服着て出なせェ」
「はーい」
沖田さんに腕をグイッと引かれてなんとかぎゅうぎゅうな掃除用具入れから出る事が出来た。
Act.17 ふう、ドキドキした
(顔真っ赤ですぜ、土方さん)
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