Act.8.5
見廻りから帰って来たら屯所が妙に静かだった。
いつもなら万年発情期の雌豚が玄関までうるせえ足音ならして来るんですがねィ。
不思議に思って少し探して見たが何処にもいねぇ。
「土方さーん、雌豚はいねぇんですかィ」
「あん?はる?知らねえが」
「どこにも居ねえんでさァ」
それから土方さんと再び屯所を回った。が、やっぱり何処にもいねぇ。
近藤さんにも聞いてみるか、と近藤さんの部屋に向かった。
「近藤さん、はる「シィー」
近藤さんの部屋に入るなり近藤さんは指を口元に当てて静かにするようにと言った。
その理由は考えずともすぐに分かった。
近藤さんに寄りかかりながら寝ているはるの肩には見慣れた上着が被されていた。大方近藤さんが掛けたのだろう。
「暇だからと言って遊びに来たのだが、生憎俺も構えなくてな」
そう言って苦笑する近藤さん。
「ったく、はる、おい、」
「良いよ、トシ。寝かせてやってくれ」
「そうか…悪りぃな」
「構わんさ。」
3人してはるの寝顔をジッと見た。
「ぶっさいくですねィ」
Act.8.5 寝ても覚めても事実は変わらない
(土産の団子は起きたらでいいや)
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